こたなたよりこんなこと

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キログラム原器が変わるんだよ。

2019年05月16日 | 博物館・科学館

 昨年の2018年11月16日に「キログラム」の定義が新しくなると発表がされました。

 まぁ「キログラムの定義が変わる」と言っても今の1㎏とこれからの1㎏で重さが変わるという事ではなく、「基準」となる物が変わる事になりました。

 「メートル法条約」ができ、世界各国で同じ重さや長さなどの単位が出来、その当時は「物理的」なもの、「メートル原器」や「キログラム原器」が基準とされていましたが、「人工物」であると、火災などに焼失や紛失、経年変化が起こるため、次第に「物理学に一定定数」による「物理量」に定義が移行し、現代では「1m」は「1 秒の 299792458 分の 1 の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである」と定義され、「メートル原器」は使用していないのです。そして現代で「唯一使われているSI単位基準」として使われている「人工物」は「直径・高さともに約39㎜」の「Pt90%とIr10%の合金」である「キログラム原器」のみなのです。

 その「キログラム原器」も、経年による表面吸着により1992年に行われた洗浄により「50μg」つまり「0.000005g」軽くなったそうです。2007年でも「国際キログラム原器が50 µg軽くなっている」という報道ありましたが、これは同原器が突然50 µg軽くなった訳ではなく。原器は経年で徐々に質量を増すのだが、1889年からの間に他の複数の複製と比較して、質量変動が約50 µg少なかったということだというで、洗浄直後と大きな変化が無かったという事もあります。

 このように「人工物」では変動が発生するので、ついに130年ぶりに「はかる」の単位が改定されることとなり、キログラム原器の定義も「物理量」になることになったのです。当然簡単に定義が決まる事は無く、いくつかの提案がされたのですが、必要精度の「8桁以上」にはならなかったのです。そして2012年12月に「プランク定数」による定義が提案され、実験が始まったのです。

 ちなみにプランク数とは光子のもつ「エネルギーと振動数の比例関係をあらわす比例定数のこと」で簡単に言うと「光の持つ仕事量」である「js」によって決められます。その結果「1㎏」がプランク定数に基づく定義では、「静止エネルギーと質量の関係式 E = mc2 を用いて、ある振動数 ν の光子のエネルギー (E = hν) と等しい静止エネルギーを持つ物体の質量を1キログラムと定義する」。事になり、 キログラムは「周波数が {(299 792 458)2/6.626 069 57}× 1034 ヘルツの光子のエネルギーに等価な質量」または「波長633nmの光子の約3×1035個分のエネルギーと等価な質量」であることだそうです。

 正直「物理学」を学んでいる人でないと全く理解できない話ですよ。

 ともあれ「最大密度温度である1Lの水の質量」が始まりになっている事は変わりませんけどね。

 「国立科学博物館  上野本館」ではこれに関する「NEWS展示」として「地球館地下3階」にて「パネル」と参考資料。そして新たな「キログラム定義」のプランク定数密度測定をするために制作された「Si球」のレプリカも展示されています。まぁこれが新たな「キログラム原器」と言えるでしょう。

 素材が「Si」なのは「純粋な単結晶が現代の技術で製作できるから」との理由。

 その新しいキログラム原器は「ロシア」でSi元素の選定を行い、ドイツで単結晶を製作、日本も「産総研 計量標準総合センター」が球体干渉計と用いたアボガドロ定数の測定を行いキログラムの質量定義改訂に必要な精度を達成したデータを出せたことに貢献しているそうです。

 ちなみに「キログラム」以外も「アンペア」、「ケルビン」、「モル」も定義が変わります。これらは国際度量衡総会から5月20日に発効されます。

 それでは、本日の登場人物は、この方。「ベルギー国立博物館」にて「化学・科学館会場職員」をしている「ブラッド・ハウンド」の「Chiefille」、「二ノン・グリュミオー」さんです。「キログラム原器」が新しくなるとの事で、「科学」に造詣が深い「二ノン」さんもテンション上がり気味なのです。ちなみに背景が「科博NEWS展示「さようならキログラム原器―「はかる」単位、130年ぶりの大改定」のパネルの一つなのです。

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