チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

高校野球神奈川大会-「タイブレーク」も目の当たりに

2018-07-20 22:27:23 | スポーツ観戦等
7月20日(金)

 日本全国、まさに「炎暑」。まったく大変な夏になってしまいました。

 そんな猛暑の中で行われているのが、甲子園を目指す高校野球の地方大会。
 今年も何回か球場に足を運ぶことになるだろうと、6月末の異例の梅雨明け直後から、暑さのメッカ?気温36度を超える埼玉へ出向いたりして、それなりに身体を慣らしておいたのですが、やはり昼間の球場は暑い。ネット裏に屋根がある所でないと、さすがに何時間も観戦できません。

 「水は飲むな」という古くさい因習はとうの昔の語り種となりましたが、とはいえ球児も大変です。試合後半に足を攣って動けなくなる選手が続出。交代要員の乏しいチームなどは没収試合になるのではとハラハラさせられますが、その都度、治療と称して試合を中断、なんとか乗り切っているという状況なのです。
 もちろん、緊張感も原因の一つでしょうが、筋肉が痙攣するというのは熱中症の初期症状の一つ、おそらく、グランド上は水分補給も間に合わないほどの苛酷な状況なのだと思います。ふだんから身体を鍛えている球児とはいえ、熱中症はいつ襲ってくるかもしれず、不測の事態が起こらないことを願って眺めていました。

 そんな中、神奈川では、昨日、南と北の二大会ともにベスト16が出揃い、すでに小所帯のチームは敗退していますので、少しばかり安堵の感もありますが、目標の高いチームはこれからが正念場。シード校はまだ2回しか戦っていないのに、あと4回勝たなければ夢の甲子園の舞台に立てないのです。敵は相手だけではありません、猛暑という手ごわい敵も待っているのです。

 ところで、選手の身体的負担の軽減という目的で、今年から「タイブレーク」の制度が導入されました。賛否両論の中でのスタートですが、実際のところやってみなければわからないというのが現状でしょうか。
 この制度、延長12回で決着がつかない場合、13回からは、得点の入りやすいノーアウト1・2塁から攻撃させるというもので、今回の神奈川大会では、今のところ三試合に適用されました。
 その三試合目は、たまたま私が観戦しているゲームで実現してしまいました。

 18日(水)、サーティーフォー相模原球場第二試合。
  氷取沢高校対藤沢清流高校の
   県立校同士の三回戦
  

 氷取沢高校は昨年ベスト16に進出、新チームになって秋も春も県大会へ駒を進めた好チーム。
 いっぽうの藤沢清流高校は8年前に大清水高校と藤沢高校が統合してできた新しい学校で、一昨年のベスト16。実は、私かつての大清水高校で野球部の顧問をしていたことがあり、明石から戻って来て以来、ちょっとばかり気にかけている学校なのです。その藤沢清流も秋・春とも県大会に進出していて好ゲームになりそうな予感がありました。

 高校野球の観戦、大会の序盤は、強豪校がコールド勝ちするような試合より、公立の中堅どころの拮抗した試合のほうが見応えがあって、今年は4回球場へ足を運びましたが、観戦したゲームでコールドになったのは、昨日の県相模原10-2希望が丘の一試合しかありません。

 さて、上の写真の試合ですが、氷取沢ホームランで先制も藤沢清流タイムリーで追いついた後、スリーランホームランが出て4-1。その後両チーム1点ずつ追加して5-2と藤沢清流有利な展開で終盤へ入りました。
 ところが、8回表に内野陣のエラーもあって氷取沢に一挙3点入り、

 延長戦に突入。10回表裏
  ともに無得点
  

 延長11回以降、ゲームセット時の
  スコアボードです
  

 スコアーのとおり、延長11回に氷取沢が虎の子の1点をもぎ取るも、粘る藤沢清流、気力で追いつき、そのまま13回から「タイブレーク」に入りました。

 「タイブレーク」は早く決着をつける制度ですから、双方とも無得点というのは想定外です。そんな中、先攻が得点を上げると後攻チームにかなり重圧がかかります。逆に先攻が無得点で終わると俄然後攻が有利になります。つまり、表が終わった段階で有利不利がはっきりするので、延長14回に入ることはまずないだろうという想定が、いちおうの前提になっています。

 作戦はいろいろでしょうが、先攻の氷取沢はオーソドックスにバントで1死2・3塁に。ここでどう守るかも考えどころですが、藤沢清流、これももっともありそうな1点阻止の前進守備。ところが、それが裏目に出て、凡フライが一塁手の後方にぽとりと落ちるポテンヒットになり2点先取。

 先ほど、先攻が得点するとかなり有利と言いましたが、それが2点になると有利のレベルが桁違いになります。
 まず、後攻チームがバントで送るかどうか、2点差を考えると迷いが出てきます。とはいえ、よほどの勇気がないと強攻策は難しい。やはり、まずはバントで送っておいたほうが無難かもしれません。藤沢清流も送りました。ところが、2点リードしているほうは1失点まではいいわけで、前進守備を取る必要がありません。したがってヒットゾーンが広くならず、ますます守備側が有利です。
 そんなかなり追い詰められた場面で、よくぞ打ったり、藤沢清流、左中間へのタイムリーが出て同点となり、「タイブレーク」では少々想定外の延長14回突入となりました。

 氷取沢は前の回と同様に、ここもバントで送ろうとしましたが3塁封殺。でも、まだ1死1・2塁です。得点のチャンスは十分ですが、野球は流れが大事。バント失敗によって攻め手と守り手の雰囲気が一変し、なんと無得点に終わってしまいました。
 こうなると、もう押せ押せ気分いっぱいの後攻チームがノーアウト1・2塁から攻撃できるのですからサヨナラになっちゃうのも仕方ありません。


   白球無情見上げる顔に汗きらり   弁人


 まあ、「タイブレーク」も見れちゃったし、それも延長14回に突入するという想定外の見応えのあるゲームではありましたが、一方で、制度の問題点も感じました。

 「タイブレーク」の攻撃は、前の回の最後の打者が1塁走者、その前の打順の選手が2塁走者となり、前の回最後の打者(1塁走者)の次の打順から始まります。
 実は、今回はそういう状況にはなりませんでしたが、藤沢清流の投手は、この猛暑に中、初回から200球近く投げていて、打順は8番でした。もし9番や1番から始める状況になったら、ルール上は彼がそのまま走者になるしかなく、選手の負担軽減から生まれた制度としては、ちょっとかわいそうな感じがします。
 そうかといって、臨時代走を認めるとしても、その基準が難しい。例えば、この試合でも足の痙攣で中断を余儀なくされた選手がいましたが、その選手が走者となる場合、思うように走れないことを理由に臨時代走というのは変じゃないですか。走れる選手を使いたいならば選手交代をすべきですから。
 考えてみれば、どんなに暑くても元気な選手もいるし、投手といえども、オオタニ君のようにバッティングも走塁センスも抜群という選手もいる以上、走者になった投手がマウンドで何百球投げていようが仕方ないのかもしれません。
 でも、その時頭に浮かんだのは、「13回以降はDH制にする」という発想でした。一考に値すると思うのですが、如何なもんでしょうか。
 
 とにもかくにも、69才の爺さんが今さら勉強でもありませんが、「タイブレーク」の戦い方等、いろいろと考えさせられ、学ぶこともあった、実にスリリングで面白いゲームでした。


コメント (2)
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