毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
ゾラ & サイバラ
2009-05-27 / 本
このたび、エミール・ゾラを初めて読みました。
『 ジェルミナール 』 です。
朝晩の通勤の地下鉄にて読み進め、約1ヶ月ちょいかかって 読了。
読み終えたときの達成感といったら!!
そりゃあそうよねえ、
『 ジェルミナール 』 、ちっちゃい活字なんだな、( なんたって昭和39年刊
の中央公論社の 「 世界の文学 」 の23巻目、)小さい文字がびっちりこんの
しかも二段組!の475ページ、 これでわたくしが中学生か高校生でセーラー服
を着て、夢中でこんな本を読んでいたなら、今時絶滅しかけている「文学少女」
っていう雰囲気なのかしら・・・( ちょっとイメージに偏りと古臭さアリ )。
舞台は、19世紀末のフランスの架空の炭坑町モンスー。
流れ者の機械工、エチエンヌ・ランチエが、真夜中にヴォルー坑にたどり着くとこ
ろから始まり、エチエンヌと、彼を引き受ける優秀な労働者マユとその一家を
中心とした、坑夫達の闘争と反乱、挫折と、希望の幼芽 ( germinal ) の物語。
代々続く炭坑夫達の暮らし、受け継がれる貧しさ、ブルジョア階級と労働者階級の
それぞれのかけ離れた意識構造を、緻密かつ迫力にあふれる文体で描きつくしてい
て、それはそれは もう、 恐ろしいほどおもしろかったのでした。
最終段階の3つの章に至っては、風邪の後遺症でかかった耳鼻咽喉科の
待合室で、溢れる涙をごまかしながら読み進み ( 1時間半も待たされて、初めて
この本をまともにまとまった時間読めた )、家で最後の1行を終えた時の感動は
声にならない深いため息となって出たのでした。 「 ふうーーーっ 」。
それから、西原理恵子を初めて読みました。
『 この世でいちばん大事な「カネ」の話 』 です。
こちらは、家で、息子昼寝中、または夜寝静まってから、ちょいと一息の時に。
2008年12月に刊行された「 中学生以上すべての人の よりみちパン!セ 」
というシリーズで、 理論社YA新書の中の1冊、大きめ活字&サイバラ漫画の
挿絵入りの234ページ、3~4日で終了できました。
西原理恵子の生い立ちから始まって、成長期、社会にデビューしてからのこと、
元夫の「 鴨ちゃん 」との出会いと別れまで、彼女の人生観、おカネ観を
実際に中学生の後輩達に話しかけてるような、物凄くわかりやすくてはっきりした
文章で書いています。
サイバラさん、とっても過酷な環境でお金の苦労をたっぷりして大人になった人。
今でこそ売れっ子漫画家だけれど、現実現状に徹しているんですね、
決してあいまいな理想を語らない。 そして、お金をうんと稼げるようになった
のに、彼女は、一食280円 ( = 一番安いのり弁当の値段相当 ) に切り詰め
て暮らしていた一人暮らしの学生時代の金銭感覚を忘れていない。
日本の大人は、子どもにお金の話をあからさまにすることを嫌う傾向にあるよう
ですが、中学生でこの本をきちんと読んでからこれからの自分の人生航路の
舵取りをしていけると、かなり違う、と思います。
必読の1冊、かもね。 お金ってなあに? の問いかけに、明確で現実的な答え
を得る事が出来るので、ある程度共感・理解できたならば、” 働き甲斐 ” と
” 報酬 ” のバランスでの悩みが軽減できると思います。
さて、ほぼ同じに読み終えたこの2冊の本、124年の時の隔たりと
お国の違いを超えて、私に、共通した感動を与えてくれました。
ゾラ と サイバラ、2人とも、
「 (最初っから )負けてる組 」 側に立っている、っていう点。
貧しさのなかでやっていかざるを得ない人々、過酷な中で必至に生きる人々への
愛を感じる、っていう点。
そうして、最悪の 「 そこ 」 から 「 未来 」 への希望を実現してゆくには
現状を受け入れることなく、決してあきらめないで歩き出すしかないんだよ、
ということを書いている、という点、で。
サイバラさんのは、一人ひとりの後輩達へのエールであり、
エミール・ゾラ氏のは、大きく歴史を動かしていった労働者達への敬意と愛であり
ました。 いやー、しみたぜ。よかったぜ。うん。
『 ジェルミナール 』 です。
朝晩の通勤の地下鉄にて読み進め、約1ヶ月ちょいかかって 読了。
読み終えたときの達成感といったら!!
そりゃあそうよねえ、
『 ジェルミナール 』 、ちっちゃい活字なんだな、( なんたって昭和39年刊
の中央公論社の 「 世界の文学 」 の23巻目、)小さい文字がびっちりこんの
しかも二段組!の475ページ、 これでわたくしが中学生か高校生でセーラー服
を着て、夢中でこんな本を読んでいたなら、今時絶滅しかけている「文学少女」
っていう雰囲気なのかしら・・・( ちょっとイメージに偏りと古臭さアリ )。
舞台は、19世紀末のフランスの架空の炭坑町モンスー。
流れ者の機械工、エチエンヌ・ランチエが、真夜中にヴォルー坑にたどり着くとこ
ろから始まり、エチエンヌと、彼を引き受ける優秀な労働者マユとその一家を
中心とした、坑夫達の闘争と反乱、挫折と、希望の幼芽 ( germinal ) の物語。
代々続く炭坑夫達の暮らし、受け継がれる貧しさ、ブルジョア階級と労働者階級の
それぞれのかけ離れた意識構造を、緻密かつ迫力にあふれる文体で描きつくしてい
て、それはそれは もう、 恐ろしいほどおもしろかったのでした。
最終段階の3つの章に至っては、風邪の後遺症でかかった耳鼻咽喉科の
待合室で、溢れる涙をごまかしながら読み進み ( 1時間半も待たされて、初めて
この本をまともにまとまった時間読めた )、家で最後の1行を終えた時の感動は
声にならない深いため息となって出たのでした。 「 ふうーーーっ 」。
それから、西原理恵子を初めて読みました。
『 この世でいちばん大事な「カネ」の話 』 です。
こちらは、家で、息子昼寝中、または夜寝静まってから、ちょいと一息の時に。
2008年12月に刊行された「 中学生以上すべての人の よりみちパン!セ 」
というシリーズで、 理論社YA新書の中の1冊、大きめ活字&サイバラ漫画の
挿絵入りの234ページ、3~4日で終了できました。
西原理恵子の生い立ちから始まって、成長期、社会にデビューしてからのこと、
元夫の「 鴨ちゃん 」との出会いと別れまで、彼女の人生観、おカネ観を
実際に中学生の後輩達に話しかけてるような、物凄くわかりやすくてはっきりした
文章で書いています。
サイバラさん、とっても過酷な環境でお金の苦労をたっぷりして大人になった人。
今でこそ売れっ子漫画家だけれど、現実現状に徹しているんですね、
決してあいまいな理想を語らない。 そして、お金をうんと稼げるようになった
のに、彼女は、一食280円 ( = 一番安いのり弁当の値段相当 ) に切り詰め
て暮らしていた一人暮らしの学生時代の金銭感覚を忘れていない。
日本の大人は、子どもにお金の話をあからさまにすることを嫌う傾向にあるよう
ですが、中学生でこの本をきちんと読んでからこれからの自分の人生航路の
舵取りをしていけると、かなり違う、と思います。
必読の1冊、かもね。 お金ってなあに? の問いかけに、明確で現実的な答え
を得る事が出来るので、ある程度共感・理解できたならば、” 働き甲斐 ” と
” 報酬 ” のバランスでの悩みが軽減できると思います。
さて、ほぼ同じに読み終えたこの2冊の本、124年の時の隔たりと
お国の違いを超えて、私に、共通した感動を与えてくれました。
ゾラ と サイバラ、2人とも、
「 (最初っから )負けてる組 」 側に立っている、っていう点。
貧しさのなかでやっていかざるを得ない人々、過酷な中で必至に生きる人々への
愛を感じる、っていう点。
そうして、最悪の 「 そこ 」 から 「 未来 」 への希望を実現してゆくには
現状を受け入れることなく、決してあきらめないで歩き出すしかないんだよ、
ということを書いている、という点、で。
サイバラさんのは、一人ひとりの後輩達へのエールであり、
エミール・ゾラ氏のは、大きく歴史を動かしていった労働者達への敬意と愛であり
ました。 いやー、しみたぜ。よかったぜ。うん。
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私の嫁さんもネットショップを立ち上げました。パスキューほど素敵ではありませんが、パッチワークの小物が沢山でなかなか楽しい気分になります。
ところで店長さんもいろいろ読書しているようですね。私も活字中毒なので、読みますね。最近でのおすすめは「峠越え」(山本一力)、「泳げ唐獅子」(菊池幸見)です。面白かったといえる小説です。
でもこのところ仕事関係の本ばかりで、気晴らしに漫画を読んで(?)ます。「コンシェルジュ」はもうホテルの物語を超えています。「昴」「MOON」は何度読んでも構成と物語性と場面展開は感心します。
では語曜日にお逢いしましょう。
ました!2度目の書き込みをありがとうございます!
そして、ショップ立ち上げ、おめでとうございます、
あんなにたくさんのアイテムをやっていらっしゃるな
んてスゴイですー、しかもすべてオリジナル・・・
うちも頑張ります!!
読みたい本はたーっくさんあるのです。
読むのが遅くて、なかなかこなせませんが、読みたい
リストが充実しているだけでシアワセな私です。
漫画も大好きですが、今は時間がありません。
GENKIさまもとってもお忙しい日々だと存じます
が、いつ読んでいらっしゃるのかしら?
ゆっくりと本談義もお願いしたいです。
ご来店お待ちしております。