毎週の出来事をお伝えします
電話室便り
2023年 新春ジャズライブありがとうございました!
前夜から降り続く雪が30cm 以上になった札幌。
朝起きて、カーテンを開けるとそこは雪国、真っ白な世界でありました。
16日の月曜日は、吹雪~小休止~晴れ間~吹雪・・・・の繰り返しで、
せっかくの雪かき作業の成果も、二度、三度と降り続く雪に覆い隠されて
あきらめの境地に至った方も多かったのではないでしょうか?
ぴりりと凍れる寒気と、降り続く雪の中、当ジャズライブにお越し下さった
たくさんのみなさまには感謝しかありません。
ありがとうございました!!
さっそく演奏曲目のご紹介です。
・ALL BLUES
・SOFTLY AS IN A MORNINNG SUNRISE
・BEAUTIFULL LOVE
・IN A MELLOW TONE
・TRAINS BLUES
・YOU'VE CHANGED ( ENCOR )
以上のアンコール曲を含めての6曲でした。
1曲目 「 オール ブルース 」
1959 年発売以来~現在までの全ジャズアルバムの売り上げトップであり、破格の
ロングセラーのモダンジャズ屈指の傑作アルバムといわれるマイルス・デイビス
の代表作のひとつ 『 カインド オブ ブルー 』。
このアルバムの1曲目が、マイルスのオリジナル「 オール ブルース 」 です。
オープニング、ベースが力強く弾くボン ボンボン ボンと。
ああ、オールブルースが始まる・・・と心躍る2023 年のライブの幕開けでした。
アコースティックのあの大きな木のベース、弦を指で弾くのにどのくらいの力が
指先に要りようなのでしょうか、重く引き締まったベースの低音、複雑に弦の上
を動く小林さんの指の動きとともに、間近の距離で体感する醍醐味です。
静かに動き出したテナーの音も伸びやかでイイ音でしたね。
2曲目 「 朝日のごとくさわやかに 」
” softly ” がなぜ ” さわやかに ” と訳されているのか?よくわからないのですが、
日本語タイトルとして謎の定着、愛は朝日のようにそっとやってきて、最高潮と
同時に燃え尽きて地獄に至る・・・・という歌詞内容の1928 年に作られた曲です。
身も蓋もない愛と破局を歌っていますが、例えば M.J.Q モダンジャズカルテット
による名演 ( この曲はジャズの名演奏揃い ) は、ミルト・ジャクソンのヴァイ
ブラホーンの音がとても印象的で、この演奏はさわやかと言えますし、
ソニー・ロリンズは名盤 「 ヴィレッジバンガードの夜 」 のライブ録音の2曲目
で演奏。速いテンポで愛の行く末を表現するような感情表現は全くなく、
ひたすらカッコイイ!
当ライブのデュオは、気負いがなく淡々と。
愛のジェットコースター的熱さではなく、柔らかでハイテンポに歌っておりました。
3曲目 「 ビューティフル ラヴ 」。
わたしがこの曲を知ったのは、ビル・エヴァンス (p.) の演奏で、です。
リバーサイド( ジャズレコードレーベル ) でのエヴァンス初期の黄金トリオ演奏の
4枚のひとつ「 エクスプラレイションズ 」 で。1931 年 ヴィクター・ヤングの作曲の
もの悲しさに満ちた美しいマイナー調の曲なのですが、エバンスのくっきりと硬質で
一音一音がまるで跳ねる粒のようなタッチの泣きたくなるような美しいピアノ、と対話
しているようなスコット・ラファロのベースソロ、ポール・モーシャンの心強いブラシ
ドラムは「 ビューティフル ラブ 」 という曲の世界の決定版でした。
大関テナーは、メロディラインの片鱗を、そして小林ベースがその太い音の片鱗に
絶妙なスパイスの音を当てて、ビューティフル ラブ を骨組みで聴かせ、面白く深い
演奏でした。
4曲目 「 インナメロウトーン 」
ソプラノサックスに持ち替えて。淡々と、小さくて掠れ気味に、ささやくような
ソプラノサックスとつま弾くベース。一休み的な、こんな演奏も珍しくていいね。
ベースソロ、美しい。外はしんしんと雪。
5曲目 「 トレーンズ ブルース 」
ライブ最後の曲の演奏中、私はライブスペース ( つまり売り場スペース ) と
バックルーム ( 後ろの従業員用スペース ) の境目のレジの後ろにて、いつもの
ライブ定位置で折り畳み椅子に座っておりました。
前方に見えるのは、降りしきる雪雪雪のまっしろな大きなウィンドウ。
そしてさらに続く眺めは、車も人も全く途切れた雪の世界の中で、小さな箱のよう
な空間一杯に響く、テナーサックスの渋くて力強くて温かい音と、ビリビリと圧が
かかるほどのベースの低音とが作り上げる二人独自のモダンジャズの音楽世界を、
全身で聴き味わい、そして何かを思いながら楽しんでくださっているご参加の
みなさまの後ろ姿。
この夜のこの眺めは、とても幻想的で、なんだか泣きそうになってしまいました。
大雪の夜の、このラストのブルース演奏のひとときの光景は、私だけが見ることが
できた ( 位置的に )、特別な、それは奇跡的な素敵な光景ともいえるでしょうか。
素晴らしい夜でした。
そして、アンコール曲 「 ユーヴ チェンジド 」
この曲は、ビリー・ホリデー。彼女の声が自動的に耳の中で蘇るのですが、
テナーのソロも、ビリーのあの歌唱に通じるものがありました。今宵のみなさまに
感謝を込めて。
以上、ビッグスノウがもたらした、最高のライブナイト、
みなさま、本当にありがとうございました!
ご感想いかがでしたでしょうか? またのご来店時には、ぜひお聴かせくださいね。
次回は、
もう少しで冬から春へ、の3月13日 ( 月 )です。
みなさまのご参加を、一同こころよりお待ちしております!!