アリスンの百日草




ときめきの出会いです。

アニタ・ローベル 『 アリスンの百日草 』。

花と、少女と、アルファベットが、優しく 「 ・・・のために ( 〜 for ) 」で

繋がっていく、という、にっこりせずにはいられない内容の絵本なのです。

作者は『 がまくん と かえるくん 』 のシリーズの 故・アーノルド・ローベル氏の

夫人、アニタ・ローベルです。

彼女の描く絵に、最近とっても心惹かれておりました。

いきいきしているのです。力強いのです。そして、愛に満ち溢れていて、優しい。

この、『 アリスンの百日草 』 は、アニタの、「 私の愛する花たち!! 」 という思

いが、じわーっと伝わり、私の気分を上げてくれます。


花・花・花。

アルファベット順の名前の頭文字を持つ少女達が、次にくる頭文字の少女のために、

花仕事をするのです。そして、次々と、リレーのように、繋がっていき、

最後の ” Z ” の少女は、最初の ” A ” の少女のために・・・。

ページの三分の二くらいに描かれた大きな花の絵、その下に英文、その下に頭文字と

少女の絵、そして、最後に日本語訳文が一行、です。

細やかに書き込まれた花達は、花びら一枚一枚、葉っぱや茎、雌しべや雄しべに至る

まで、その花の個性を描ききり、常に次のページ・・・つまり右向きの視線をしながら

花仕事にいそしむ少女達の、ちょっと愉快な表情と仕草、着ている洋服や

部屋、庭などの背景や小物などの書き込まれた愉しさ! 

アニタ・ローベルの世界です。

どんな風か、といいますと ・・・・




ドーンは エミリーのために らっぱすいせんを掘りました。





マリッサは ナンシーのために もくれんに きりをふきました。





ヘザーは アイリーンのために ヒヤシンスに 水をやりました。





ジーナは 百日草を しらべました。 アリスンのために ・・・・・・




ここ札幌で、これから咲く、もうすぐ咲く花たちと、最後の ” Z ” の百日草を選ん

でみましたが、このようなページ構成で、アルファベットの順番にしたがって、

” A ” のアリスンは、” B ” のベロルのために、” B ” のベロルは、

” C ”のクリスタルのために、・・・・・・ と、少女が花を繋げていくのです!

なんて素敵なアイディア! 

アニタは、友だちを訪ねたフロリダからニューヨークへ帰る飛行機内で一気に書き上げ

てしまったそう( 花たちの絵は、1年以上かかったそうですが )。


23 X 31cm の大判の絵本です。

一冊の、豪華な花の画集のようでもあり、子供のための ABCブックでもあり、

英文レッスン集にもなるでしょう。


それにしても、花・花・花!!!

『 アリスンの百日草 』 は、 花とはなあに? というシンプルな問いを、初めて

私に投げかけてくれた本でした。

花って、一体 なにかしら?

なにゆえ、花は咲くのだろう?

考えたこと、ありますか? 私、一遍もありませんでした、今まで。

結構深い問いだと思うと同時に、その答えは、言葉になる前に一瞬のうちに閃くもの、

解っている人は、ただ、解っている・・・・とも思います。

アニタと少女たちは、ただただ、解っているのです。言葉になんかはしないけれど。


花は、考えるものではありませんね。でも、じゃあ何?という、それから先が自分の中

でまとまらない。 まとめなくってもいいのでしょうけれど・・・。


『 アリスンの百日草 』 は、ときめきの理由の中に、そのようなテーマを導いて、

自分にとっての 「 花 」 を思うきっかけをくれました。

わたしにとって、そういう本です。











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