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電話室便り
アリスンの百日草
2012-04-04 / 本
ときめきの出会いです。
アニタ・ローベル 『 アリスンの百日草 』。
花と、少女と、アルファベットが、優しく 「 ・・・のために ( 〜 for ) 」で
繋がっていく、という、にっこりせずにはいられない内容の絵本なのです。
作者は『 がまくん と かえるくん 』 のシリーズの 故・アーノルド・ローベル氏の
夫人、アニタ・ローベルです。
彼女の描く絵に、最近とっても心惹かれておりました。
いきいきしているのです。力強いのです。そして、愛に満ち溢れていて、優しい。
この、『 アリスンの百日草 』 は、アニタの、「 私の愛する花たち!! 」 という思
いが、じわーっと伝わり、私の気分を上げてくれます。
花・花・花。
アルファベット順の名前の頭文字を持つ少女達が、次にくる頭文字の少女のために、
花仕事をするのです。そして、次々と、リレーのように、繋がっていき、
最後の ” Z ” の少女は、最初の ” A ” の少女のために・・・。
ページの三分の二くらいに描かれた大きな花の絵、その下に英文、その下に頭文字と
少女の絵、そして、最後に日本語訳文が一行、です。
細やかに書き込まれた花達は、花びら一枚一枚、葉っぱや茎、雌しべや雄しべに至る
まで、その花の個性を描ききり、常に次のページ・・・つまり右向きの視線をしながら
花仕事にいそしむ少女達の、ちょっと愉快な表情と仕草、着ている洋服や
部屋、庭などの背景や小物などの書き込まれた愉しさ!
アニタ・ローベルの世界です。
どんな風か、といいますと ・・・・
ドーンは エミリーのために らっぱすいせんを掘りました。
マリッサは ナンシーのために もくれんに きりをふきました。
ヘザーは アイリーンのために ヒヤシンスに 水をやりました。
ジーナは 百日草を しらべました。 アリスンのために ・・・・・・
ここ札幌で、これから咲く、もうすぐ咲く花たちと、最後の ” Z ” の百日草を選ん
でみましたが、このようなページ構成で、アルファベットの順番にしたがって、
” A ” のアリスンは、” B ” のベロルのために、” B ” のベロルは、
” C ”のクリスタルのために、・・・・・・ と、少女が花を繋げていくのです!
なんて素敵なアイディア!
アニタは、友だちを訪ねたフロリダからニューヨークへ帰る飛行機内で一気に書き上げ
てしまったそう( 花たちの絵は、1年以上かかったそうですが )。
23 X 31cm の大判の絵本です。
一冊の、豪華な花の画集のようでもあり、子供のための ABCブックでもあり、
英文レッスン集にもなるでしょう。
それにしても、花・花・花!!!
『 アリスンの百日草 』 は、 花とはなあに? というシンプルな問いを、初めて
私に投げかけてくれた本でした。
花って、一体 なにかしら?
なにゆえ、花は咲くのだろう?
考えたこと、ありますか? 私、一遍もありませんでした、今まで。
結構深い問いだと思うと同時に、その答えは、言葉になる前に一瞬のうちに閃くもの、
解っている人は、ただ、解っている・・・・とも思います。
アニタと少女たちは、ただただ、解っているのです。言葉になんかはしないけれど。
花は、考えるものではありませんね。でも、じゃあ何?という、それから先が自分の中
でまとまらない。 まとめなくってもいいのでしょうけれど・・・。
『 アリスンの百日草 』 は、ときめきの理由の中に、そのようなテーマを導いて、
自分にとっての 「 花 」 を思うきっかけをくれました。
わたしにとって、そういう本です。
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