レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

コミック密売人 飛び込み台の女王

2017-02-24 13:11:00 | 
ピエルドメニコ・バッカラリオ『コミック密売人』 岩波書店
 「10代からの海外文学 STAMP BOOKS」「ティーンの喜びや悩みをつづった作品のシリーズです」
 イタリアの作品で、舞台はハンガリーのブダペスト。15才の少年シャーンドルは、謎の男が提供してくれるアメコミを、自分もハマりながら仲間たちと共に密かに売りさばいている。折り合いの悪い継父や、実は秘密警察と思われる不審な男や、学校の教師などの目から隠れながら。そしてシャーンドルも自分たちの想像力でコミックヒーローのアイディアを練っていく。
 ここで出てくるタイトルには、名前だけ知っているものもあり、まったく知らないものもあり。たぶん私から見れば面白くもないものだろうけど、夢中になる気持ちには充分共感できる。あれこれとキャラ設定を考えてわくわくするのも、私だけでなく、多くの人がうなずいてしまうに違いない。
 この話は1989年の設定で、冷戦崩壊への雪崩れ込みがクライマックスにくる。いまでは日本のMANGAもきっとかの地にも入っているのだろう。


マルティナ・ヴィルトナー『飛び込み台の女王』
 上記の本と同じレーベル。これはドイツ産で舞台もドイツ。
 ナージャ(母がロシア人)は飛び込み競技に打ち込んでいるスポーツエリート校の生徒、12歳。隣人のカルラは親友であり、同じ競技の「女王」的存在。しかし、母に恋人ができたことでカルラは動揺し、ナージャの活躍に注目が集まってしまう。
 「友情、努力、勝利!」を思わせるけど、ちょっとほろ苦さもある終わり。
 ところで、小学生でもう専門家たちが様子を見に来て、各競技からスカウトされて進路を決めるしくみはだいぶ日本と違っていそう。(スポーツの世界なんて日本での事情もよく知らんけど)
コメント (1)
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