レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『ヨーロッパの王妃・プリンセス200人』の話題再び

2013-04-19 16:57:45 | 歴史
 先にローマカテゴリーで触れた本、『ヨーロッパの王妃・プリンセス200人』の話題。
 
 この本のいいところ:マイナーどころもたくさん入っている。
 例えば、ナポレオンの関係者では、ジョゼフィーヌだけでなく、2度目の妻マリー・ルイーズ、母や妹たちも載っている。薔薇戦争関連では、ヘンリー6世の妃マーガレット、エドワード4世妃エリザベス、ヘンリー7世母マーガレット、妃エリザベス。

 『ブロンズの天使』に出てきたニコライ一世の皇后とか、シシィと親しかったルーマニア王妃など、ここで顔を見られたのは収穫だった。

 デンマーク王クリスチャン10世妃アレクサンドリーネ(ドイツ出身)、初めて知ったけど、上品でりりしくてすてきだ。


 この本の欠点
1、時代区分に難あり。
 「古代・中世」と「近代」と「現代」に分けてある。
 確かにこういう区分は微妙なものがあるとはいえ、14世紀のポルトガルのペドロ一世妃イネスが「近代」は明らかにヘンだろう。ロシア革命で死んだ皇后や皇女が「近代」なのに、18世紀の人であるマリア・テレジアの娘や19世紀のゾフィー皇太后やシシィが「現代」。

2.使われた肖像に不適切さがある。
 カバーの内容紹介はこうである。
「王家に生まれ、豪奢な暮らしを営んだ宮廷のプリンセスたち。しかし、彼女たちの多くは政略の花嫁として他国に赴き、国家の命運をも背負った。その運命の過酷さを覆い隠すように、彼女たちの肖像は穏やかで美しい。男よりたくましく生きた者、運命に翻弄された者、人々の羨望の眼差しを集めた者―あの英雄の妻や娘はどんな顔をしていたのか?古代から現代まで、華麗な肖像とともに二百人の姫君たちがオールカラーで蘇る!」
 当時または近い時代の肖像を載せている場合はいいが、中には、はるか後世の芸術家の作品もある。 
 オクタヴィアは肖像で問題なかろうに、有名な、ウェルギリウスの朗読中に失神した様の絵。
 ポッパエアはフォンテーヌブロー派の絵。
 ユリア・ドムナは、アルマ・タデマ(たぶん)。
 アリエノール・ダキテーヌときたら、ラファエロ前派のイヴリン・ド・モーガンの絵だ、美化しすぎだろう(夫の愛人に自害を強いている場面なんだけどな、たぶん)。
 「どんな顔をしていたのか?」にマジメに答えるには、美化しまくりの後世の作品を挙げることでいいのだろうか。もちろん、ドリームが悪いとは言わない、しかし、少なくとも出典の明記くらいは必要だろう、と主張したい。
      
 ついでに、姉妹編『ヨーロッパの皇帝・国王200人』
「古代ギリシャ・ローマ時代から、ヨーロッパの歴史は数多の皇帝・国王たちに彩られてきた。名君・暗君・女帝など、その人物像はさまざまである。今も人々から崇敬される賢王、世界に名を轟かせた勇武の王、己の欲望に走った暗愚の王、国家の最期を見届けた悲劇の王―教科書にも登場するあの王は、どんな顔をしていたのか?英雄アレクサンドロス大王から現代のエリザベス二世まで、総勢二百人の帝王たちの姿をオールカラーで。」
 こちらでも「どんな顔をしていたのか?」である。アウグストゥスはいつもの像であり、こういうのはいいのだ、こういうのは・・・。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 近所のまんが喫茶を検索 | トップ | アイスクリーム »

コメントを投稿

歴史」カテゴリの最新記事