レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ドイツのきれいな町の比率

2006-06-29 15:35:24 | ドイツ
フライブルクの語学学校の授業で、生徒たち(日本人)がドイツの美しさを賞賛すると、「でもドイツ中がフライブルクみたいなわけじゃない」とある先生が言っていた。例えばルール地方などが、美しくない地域の例として挙がっていた。「ルール工業地帯」という名前は、地理の授業で聞き覚えがある。映画『ベルンの奇蹟』は、それに属するエッセンが中心舞台だった。脇役の記者の住まいのミュンヘンや、試合場所のスイスの湖畔が小奇麗なので、炭鉱の町の見栄えはいっそう冴えなく見えた。(そういう場所でも人々の生活はきちんと営まれていて、子供たちは健全に外遊びしている。いかにも素人の粗末な手作り品のボールを蹴っている姿は、あぁなんて健康なんだ!と感動した) もちろん映画に出てきたことだけで判断してはいけないし、ドイツ人の間でも美しからぬ町と思われているDuisburgドゥイスブルクにもきれいなところはあるという報告を読んだことはある。そして、なにをキレイ、洒落てると感じるかという問題もあるし。
(私の歩いた限りでは、旧東ではボロい建物がけっこう目に付いた。いまドイツ旅行中の「脳幹倶楽部」のこまむさんの日記(現地レポ)でも、ライプチヒに廃墟みたいな建物が多いと書いてある。) それでもやはり、全国でのきれいな町の占める率、ひとつの町でのきれいな場所率は、・・・日本よりも高いような気がする。まずお役所。ドイツだと市庁舎(市役所とは厳密に言えば違うそうだけど)はたいてい、立派とか可愛いとかキレイという言葉がふさわしい、絵葉書になっていい建物である。そして教会。お寺さんだってそれ相応の立派なところはあるのだし、雰囲気もあるに違いない。でも、ロマンチック(ここでは通俗な意味で言う)なキレイさならば教会のほうがある。そして決定的なことは、町並みの調和だろう。景観を守ることについて彼らは熱心だ。壁の色は様々であっても、高いところから見ると屋根の色調が統一されていることがわかる。ライン河畔は黒が多いと思った。 そういう統一感を、モノトーンで退屈だ、アジア的混沌はエネルギッシュでいい、と評する声も「ドイツ語講座」などできいたことはあるけど。 
90年の秋、語学講習で2ヶ月を過ごすボッパルトに行く前に、知人の紹介でデュッセルドルフで2泊した。ボッパルトなんて小さい町では絵葉書なんてないだろうと思ってデュッセルでも買いこんだのだが、とんでもない思い違いだった。ボッパルトにもきれいな絵葉書はたっぷりとあった。 さらに小さな町でも、有名観光地でもないくせにどうしてこんなにキレイなんだよ~~~!?と叫びたい町は複数見た。絵葉書くらい作らんともったいないと異邦人は思う。
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