レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ライプチヒ

2007-01-26 05:52:58 | ドイツ
 ドイツ、旧東、ザクセン州の都市。「ゲーテ街道」に属する。ゲーテが大学時代をすごした町のひとつで、当時「小パリ」と呼ばれていた。バッハが活躍した地でもある。
 私は98年の夏、アイヒェンドルフ縁のハレに4泊したときに足を伸ばした。
 印象に残っているのは、駅の中にたくさんのショッピング施設があって立派だったことと、旧市庁舎。旧市庁舎は、「名曲アルバム」にも何度か出てきたと思う、少なくとも見所としてよくあの建物は出てくる、クリーム色の壁とダークブラウンの屋根で、私は見るたびにティラミスを連想してしまう。現在、ここは歴史博物館になっている。19世紀、とある鬘師が嫉妬から女を殺して、精神障害が疑われたが結局ライプチヒで公開処刑されたという事件があり、夭折の作家ゲオルク・ビュヒナーの戯曲断片『ヴォイツェク』の元ネタになった。(オペラでは『ヴォツェク』) その処刑のありさまを描いた絵が展示に含まれていた。
 戯曲は、兵士ヴォイツェクが情婦に裏切られて彼女を刺殺する筋書き。しかし場面の順番もはっきりとはしていないため、彼も水に入って死ぬのか、生きて捕らえられるのかは演出家の解釈の余地がある。ヴォイツェクが殺人の前にマリーと見る月を「血に濡れたナイフのようだ」というセリフは、後年の『サロメ』を先取りしていると言われる。
 ライプチヒといえばほかにメンデルスゾーンとかヴァーグナーとか滝廉太郎、多くの有名人がいるが、「ゲルデラー環道」が駅近くにあることも指摘しておこう。1944年7月20日のヒトラー暗殺未遂事件、通称「7月20日事件」の一味の一人のカール・ゲルデラーはライプチヒ市長だった。戦後つけられた名前なのだろう。すぐ近くに「リヒャルト・ヴァーグナー広場」があるのは少々皮肉な気もする。ライプチヒの生んだ作曲家をナチスが賞賛しまくるのをゲルデラーはどんな気持ちで見ていたのだろうか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『エンパイア』やっと見た | トップ | ブックカバーが届いた »

コメントを投稿

ドイツ」カテゴリの最新記事