レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『カエサル!』

2006-07-09 14:26:32 | ローマ
 扶桑社の文庫新刊。フランスの作家マックス・ガロ。
 幼少時代からその最期まで、神々の末裔と強く意識しながら、母の期待とあふれる自負心を抱えながらどんどん突き進む、「オレはやるぜ オレはやるぜ」の物語。(わからない人は『動物のお医者さん』読んでね)
 硬軟両方の意味・意図(政治的に有利ということでも、モテたい・自己愛)で肉体の鍛錬・お手入れを怠らない点が強調されています。多くの元老院議員たちのようなでぶでぶした姿にはなりたくない、といつも思っている。最期のときにデスマスクのこと考えてトガで顔を覆うのが、女優の「顔だけはぶたないで!」みたいな感じがしました。
「もう見えるのは闇だけ・・・・・・。
死ぬからといって、身だしなみは無視できない。彼はトーガを押えて裾がまくれあがらないようにした。傷ついた肉体を人目にさらさずに死にたかった。
 彼は毅然としていた。死を悟られまいとしたが、それが無駄なこともすでに承知していた。
 --さあ、ユピテルよ、ここにわが手がある。この手を取り、われを引きあげよ!」

ーーダンディズムの極致ですな。
 
 オクタヴィアヌスは直接には登場しません。
「適当な時期になったら、後継者を指名する。カエサルの頭にある名は、オクタウィアヌス。まだ20歳にも満たない若者だったが、美しく控えめで、それでいて毅然としていて知恵も働く男である」(p302)
 そして実際遺言状で相続人に指名する。この際、クレオパトラ&カエサリオンはまったく念頭にないです。ここでのパトラは、魅惑的なことは強調されるけど、美女と持ち上げた描き方ではありません。妻たちの出番はわりに少ないです。息子のないことは気にしてなさそう。
 ニコメデス王との関係については、ほんとに付き合ったことにしてあります。遊びっぷりは女男問わずハデ。秘書アエミリウスは賢く見目よい若者で、カエサルを崇拝してる。これとほか一人常備の青年の愛人がいる。
 カエサルをはっきりと両刀に描いたのは、プロ作家では初めて読みました。マッシーでは、過去のウワサとしては出てくる、オクタの「愛人」疑惑はアントニウスが言い張りオクタは否定。マクロウでは否定ぎみ、ジョンストンでは疑惑が持たれているというだけで事実かどうかは不明のまま。

 魔夜峰央の『カエサル!』が頭に浮かんで仕方ない。パタリロとバンコランをミックスしたようなキャラのカエサルか。MI6の部長みたいな顔したキケロをカリカリ怒らせながら女たらし美少年たらしにもせっせと励む。バンが浮気するとマライヒがツメ立てて怒るのがパターンだけど、あれは誰の役になるか。パトラでも想像はできるけど、「浮気者ーー!」なんて彼女が言っては図々しいからな。いっそカルプルニアにしてみると新鮮、通常イメージが地味なので。オクタは誰に似てるか。フィガロの中身で見た目のいい感じ?いっそラシャーヌみたいな・・・いやだいぶ違うか。 カエサルの見たとんでもない夢のエピドード、あれはアウレリアにエトランジュ入れると似合いそうな場面かも。
 ロリコンのヒューイットはユリアにメロメロなポンペイウスでばっちり!
 ウェルキンゲトリクスは、パンクファッションみたいなハデなキラキラ美形キャラで案外はまりそうだ。
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