実を言うと私は「女性」という言葉を好きでない。
理由その1.「女」を差別用語と勘違いしているかのような気取りを感じることがあるから。極端な例だと、「子供を産まなくなった女性は用なし」などという、尊重した意図などまったくない文脈では、「女性」がかえって不愉快である。「女性」と言っておけばとりあえず紳士、のような錯覚があるのかもしれない。メロドラマや演歌ならば、「女」のほうが風情がある。「性」がつくことでかえってセクシーでなくなってしまう。アクションものならば、戦う「女」のほうがかっこよい。これは男で考えるともっとわかりやすい。映画『グラディエーター』の説明に「新皇帝の陰謀で妻子を殺され剣闘士に身をやつした男性の復讐」と書かれていたときには気が抜けた。ここはどうしても「男」でないとしまらない。
もう一つの理由、「女性」は、性別以外の情報を伝えない。
つい先日、ドラマの筋の紹介でこう書いてあった、「今回のメインは、セレブの御曹司と女性との結婚」--あのー、御曹司は男だから結婚するなら相手はたいてい女でしょ。「庶民の女性」みたいに、なにか説明がついてないと意味ないでしょ。
映画『王妃マルゴ』で「宗教戦争のさなか、政略結婚を強いられた貴族の女性」--貴族が政略結婚はあたりまえだ、というツッコミはおいといてーー貴婦人とか令嬢のほうが言葉としてきれいだと思う。私ならばここは「美貌の王女」と書く。
映画『エマ』も、「世間知らずの若い女性」だった。これもお嬢様の話(ジェーン・オースティンの小説はみんなそう)なので、「令嬢」とでもしたほうがわかりやすい。
若いならば、女の子、少女、娘、おねえさん、その上の年代ならば、おばさん(単に中年女性というだけの意味で使うならばこの言葉は別にきらいではない)、おばあさん、老婦人。年齢層や立場や職業などの言葉で、そして性別を伴っているほうが望ましい。もっとも、たいていの職業名は男のほうに印象が傾いているので、区別するなら「女性」なんとかになってしまいがちではあるけど。
石坂洋次郎の『石中先生行状記』、昭和の初めごろが舞台だったろうか、ある田舎のおばさんが「近頃女性女性といってるのは、若くてきれいな女の子のことかと思ってた」と言う。大正あたりならば、多少きどった言葉はむしろ「婦人」だろう。「女性」の登場したころには現代よりもずっと洒落た感じに思われていたことをうかがわせる。
あと、コドモが「女性」なんて言ってたらなんだかナマイキに見えるだろう。「女」では生々しくて行儀が悪いとなると、「女のひと」くらいが無難か・・・と、あくまでも主観ではある。
要するに、なんでも「女性」「女性」ですませずに、文脈にふさわしい言葉を選ぼう、と言いたいのである。
理由その1.「女」を差別用語と勘違いしているかのような気取りを感じることがあるから。極端な例だと、「子供を産まなくなった女性は用なし」などという、尊重した意図などまったくない文脈では、「女性」がかえって不愉快である。「女性」と言っておけばとりあえず紳士、のような錯覚があるのかもしれない。メロドラマや演歌ならば、「女」のほうが風情がある。「性」がつくことでかえってセクシーでなくなってしまう。アクションものならば、戦う「女」のほうがかっこよい。これは男で考えるともっとわかりやすい。映画『グラディエーター』の説明に「新皇帝の陰謀で妻子を殺され剣闘士に身をやつした男性の復讐」と書かれていたときには気が抜けた。ここはどうしても「男」でないとしまらない。
もう一つの理由、「女性」は、性別以外の情報を伝えない。
つい先日、ドラマの筋の紹介でこう書いてあった、「今回のメインは、セレブの御曹司と女性との結婚」--あのー、御曹司は男だから結婚するなら相手はたいてい女でしょ。「庶民の女性」みたいに、なにか説明がついてないと意味ないでしょ。
映画『王妃マルゴ』で「宗教戦争のさなか、政略結婚を強いられた貴族の女性」--貴族が政略結婚はあたりまえだ、というツッコミはおいといてーー貴婦人とか令嬢のほうが言葉としてきれいだと思う。私ならばここは「美貌の王女」と書く。
映画『エマ』も、「世間知らずの若い女性」だった。これもお嬢様の話(ジェーン・オースティンの小説はみんなそう)なので、「令嬢」とでもしたほうがわかりやすい。
若いならば、女の子、少女、娘、おねえさん、その上の年代ならば、おばさん(単に中年女性というだけの意味で使うならばこの言葉は別にきらいではない)、おばあさん、老婦人。年齢層や立場や職業などの言葉で、そして性別を伴っているほうが望ましい。もっとも、たいていの職業名は男のほうに印象が傾いているので、区別するなら「女性」なんとかになってしまいがちではあるけど。
石坂洋次郎の『石中先生行状記』、昭和の初めごろが舞台だったろうか、ある田舎のおばさんが「近頃女性女性といってるのは、若くてきれいな女の子のことかと思ってた」と言う。大正あたりならば、多少きどった言葉はむしろ「婦人」だろう。「女性」の登場したころには現代よりもずっと洒落た感じに思われていたことをうかがわせる。
あと、コドモが「女性」なんて言ってたらなんだかナマイキに見えるだろう。「女」では生々しくて行儀が悪いとなると、「女のひと」くらいが無難か・・・と、あくまでも主観ではある。
要するに、なんでも「女性」「女性」ですませずに、文脈にふさわしい言葉を選ぼう、と言いたいのである。
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