かわみなみ『シャンペン・シャワー』は、「ララ」に83~86年に連載された。南米の国エスペランサで、ジャングル育ちの少年アドルがサッカー選手として活躍するコメディ。私はこれを愛読はしたが、サッカーファンになったわけではやはりナイ。影響の受け方にも相性というものがあると思う。
アドルよりも、敵チームのコンビのマルロ&アンドレのほうが人気が出て、本編終了から間もなく、彼らの過去の番外編が描かれた。本編は「花とゆめ」コミックス6巻本で出たが、なぜかこの『ダイヤモンド・ガイ』は未収録のままだったのだ。2002年に、ワールドカップ便乗で『シャンペン・シャワー』が文庫化されるとなって、では『ダイヤ~』もついに併録されるのか!と期待した、そしてそうはならずにがっかりしたファンは多かったに違いない。私もその一人である。あれから4年、またWCがめぐってきて、再度のチャンス。この文庫を知ったとき、やはりという気持ちの次には、100ページしかなかったのに、なにを併録するんだろう?という考えだった。
『ダイヤモンド・ガイ』は、本編より10年まえに幕を開ける。13才のアンドレはマルロ18才のデビュー戦を見てすっかりファンになり、5年後に同じチームに入り、新たな同居人 を探していたマルロと一緒に住むようになる。マルロが八百長をもちかけられていると知って動揺するアンドレ、マルロの真意は?--結局、マルロを崇拝するだけでなく自分の方針を持つことによっていっそう互いの必要さを確認したという、ある種の読者にはたまらない物語であるが、ヨコシマモードなしで読んでも良い話である。
『すすめエスパーニャ!』は、確か「ララ」作家たちの短編アンソロジーに載ったもの。スペイン愛国者の青年たちが、国際交流のために世界にスペイン語を広めようと遠征に出る大笑いモノ。サッカーの場面はやはりあるので、ここにはいっていたことには納得。
さて、いちばんたくさんのページを占めていたのは『一輪の花』に始まる『花田兄妹シリーズ』。男子高校生花田咲也は後輩高柳に実は片想い、しかし高柳は男子高を嫌ってわざと悪さしまくって自らを退学に追い込む、咲也は告白もできずに失恋。妹のさくらはヤオイ好きで、同人誌を作っている。彼らの家に、ホームステイで日英ハーフのゲイ少年佐藤が来て、咲也の親友に惚れて咲也を困らせる。・・・このシリーズ、BL誌に場を移して『大きな栗の木の下で』として続いたが、そこまでは今回入ってない。同性愛を「異常」視も当然視もせず、やおい嗜好もヘンタイと決め付けるのでなく、暖かい視線でマジメに考える姿勢が好ましかった。途中で雑誌の講読をやめたのでどこまで進んだのか記憶が曖昧である。
・・・それにしても、これらを入れるとは思い切ったなかわみさん・・・。サッカーものとして手に取るお初の読者も予想できただろうに。
一つだけ毛色の違う『はあどぼいるどカフェ』については別に述べる。
私はコミケで、かわみさんを拝見したことはある。マンガでの自画像と近かった。洋画ジャンルだった。
アドルよりも、敵チームのコンビのマルロ&アンドレのほうが人気が出て、本編終了から間もなく、彼らの過去の番外編が描かれた。本編は「花とゆめ」コミックス6巻本で出たが、なぜかこの『ダイヤモンド・ガイ』は未収録のままだったのだ。2002年に、ワールドカップ便乗で『シャンペン・シャワー』が文庫化されるとなって、では『ダイヤ~』もついに併録されるのか!と期待した、そしてそうはならずにがっかりしたファンは多かったに違いない。私もその一人である。あれから4年、またWCがめぐってきて、再度のチャンス。この文庫を知ったとき、やはりという気持ちの次には、100ページしかなかったのに、なにを併録するんだろう?という考えだった。
『ダイヤモンド・ガイ』は、本編より10年まえに幕を開ける。13才のアンドレはマルロ18才のデビュー戦を見てすっかりファンになり、5年後に同じチームに入り、新たな同居人 を探していたマルロと一緒に住むようになる。マルロが八百長をもちかけられていると知って動揺するアンドレ、マルロの真意は?--結局、マルロを崇拝するだけでなく自分の方針を持つことによっていっそう互いの必要さを確認したという、ある種の読者にはたまらない物語であるが、ヨコシマモードなしで読んでも良い話である。
『すすめエスパーニャ!』は、確か「ララ」作家たちの短編アンソロジーに載ったもの。スペイン愛国者の青年たちが、国際交流のために世界にスペイン語を広めようと遠征に出る大笑いモノ。サッカーの場面はやはりあるので、ここにはいっていたことには納得。
さて、いちばんたくさんのページを占めていたのは『一輪の花』に始まる『花田兄妹シリーズ』。男子高校生花田咲也は後輩高柳に実は片想い、しかし高柳は男子高を嫌ってわざと悪さしまくって自らを退学に追い込む、咲也は告白もできずに失恋。妹のさくらはヤオイ好きで、同人誌を作っている。彼らの家に、ホームステイで日英ハーフのゲイ少年佐藤が来て、咲也の親友に惚れて咲也を困らせる。・・・このシリーズ、BL誌に場を移して『大きな栗の木の下で』として続いたが、そこまでは今回入ってない。同性愛を「異常」視も当然視もせず、やおい嗜好もヘンタイと決め付けるのでなく、暖かい視線でマジメに考える姿勢が好ましかった。途中で雑誌の講読をやめたのでどこまで進んだのか記憶が曖昧である。
・・・それにしても、これらを入れるとは思い切ったなかわみさん・・・。サッカーものとして手に取るお初の読者も予想できただろうに。
一つだけ毛色の違う『はあどぼいるどカフェ』については別に述べる。
私はコミケで、かわみさんを拝見したことはある。マンガでの自画像と近かった。洋画ジャンルだった。
誰しもが、「影響の受け方にも相性というものがある」と、大人な理解を示してくれると有難いんですけどね・・・。
「ダイヤモンド・ガイ」、ようやく読みました。
アンドレの成長物語として、いい作品だと思いました。アンドレが本編より若いだけに、かなりピュアな感じも(でも、「ぼくはもう汚れてる」んですよね(笑))。
なにげに衝撃的なセリフが「身長は今と同じ178で体重は54キロしかなかった」
・・・あんたは、ファッションモデルか!?
かわみさんのまんがは、恋愛ものだとぎこちない印象なのですが、「花田少年」シリーズは、恋愛感情が自然に描かれていたと思います。
それにしても、「ダイヤモンド・ガイ」のおかげで、「シャンペン・シャワー」まで買っちゃいました。
「ノストラ探偵団」に「ダイダイ青年団」まで。
こうなったら、なつかしの「まり子闘争」、「インナーカルテット」も読みたいです。
かわみさんはデビュー作が『花の熱血サッカー部』とかいうらしく、つくづくこの趣味を主張してきたのだなーと思います。キャラもしばしば選手をモデルにしているようだし。それを知らない読者でもきちんと読めますけどね。そういえば『まり子闘争』も『インナーカルテット』も少しは多かれ少なかれサッカー場面はあったような。『まり子』にもジョゼ(?)は絡んできてるし。
文庫化されたら私もまた読みたいです。
「まり子闘争」では、相手役の男の子がサッカー部員でしたよ。ラストも、サッカー場で、二人が笑顔で見つめあうシーンで終わったような。
花田くんもサッカー部員だし、本当にお好きなんですね。
作者が「好き」なのを題材にすると、インナーワールドに入り込んで、知らない読者がおいてけぼりになることもありますが、「シャンペン…」は、知らなくっても読めるいい作品です。
Jリーグすら発足していなかった時代に、プロのサッカーリーグを描いたのですから、あの当時の掲載雑誌「LaLa」のなんでもありの魅力を懐かしく思います。
ほんと、あのころの「ララ」はパワフルでした。