レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

元年春之祭 刑罰

2019-08-10 13:11:33 | 
『元年春之祭(がんねんはつのまつり)』陸秋差(りく・しゅうさ ほんとは差に机ヘンの字) ハヤカワポケットミステリ。珍しい中国もの。前漢の時代。名家で当主の妹が殺害され、客である豪商の娘・葵(き)が謎ときに取り組む。数年前に当主の兄一家の惨殺事件があり、そしていままた連続殺人が起きる。
 「漢籍と、アニメ的なキャラクター表現への情熱」と作者が語るとおり、ライトノベルふうの要素も感じられるし、少女たちの愛憎があやしい。・・・マンガ家でいえばCLAMPが合いそうかな。


『刑罰』 フェルディナント・フォン・シーラッハ
 犯罪を扱った短篇集。理不尽さを感じさせる話もしばしばあり、作者が元々法曹界の人なので説得力が増す。
 『リュディア』はわりに滑稽味がある。さえないやもめ中年が「ラブドール」を購入して、名前までつけて溺愛していたが、留守中に隣の男に損壊されたので半殺しの目に合わせて有罪、しかし執行猶予つきなので本人はけっこう満足する。
 精神科医は、人形を愛することはよくあることだと説明する。
「日本では、本当の伴侶をえたとき、ラブドールの葬儀をおこなう人もいるそうです」
 こういうのも「二次元」に近い範疇なのだろうか。
 
コメント
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