レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

毒殺師フランチェスカ 戦国城砦群

2015-05-20 19:20:28 | 
サラ・ブール『毒殺師フランチェスカ』 集英社文庫
 去年出たけど気がつかずに、BOで発見した。
 1492年、ローマ。ボルジア枢機卿に雇われている毒殺師が死に、それが他殺であることを知った娘は復讐を決意、父の仕事の跡を継ぐ。折しも現教皇は瀕死状態。同じ年にイベリア半島ではレコンキスタ完成、ユダヤ教徒たちが追放されつつある。狂信者に動かされた教皇は、全キリスト教国からも追放する命令を出そうとしている、それをくいとめるために、一刻も早く抹殺しなければならない。
 もちろんタヌキのロドリゴ・ボルジア、可憐なルクレチア、自信家のチェーザレ、親しんだ顔ぶれ。
 続きもあるそうだ、邦訳出てもらいたい。
 (そういえば、『ブーリン家の姉妹』は数年出ていない)

井上靖『戦国城砦群』 文春文庫(かなり昔)
 武田の滅亡後、反織田の野武士の群れに加わった男、元同僚で明智に仕官した者、織田の旗本、主要な男キャラは三人。武田の侍女だった娘、野武士たちを顎で使う娘、・・・これもまぁおなじみではある。
 
 井上靖の戦国もの長編4つのうちで、最も優遇されているのが『風林火山』で新潮文庫に安定して入っている。冷遇されているのがこれ。ほかの『風と雲と砦』『戦国無頼』は数年前に角川文庫から復刊があったと思う。ーー『淀どの日記』は、「井上靖の戦国もの長編」を考える際に念頭に浮かばなかったのは、「戦国」よりも「安土桃山」のほうの印象だからである。これも数年前の映画化で復刊していた。
 
 ところで、ほぼ続けて読んだ上記の2冊はそれぞれ歴史的背景を持ち、前者は1492年、後者は天正十年、共に怒涛の年だという共通点があった。偶然。
 同作家の短編では『天正十年元旦』もある。勝頼、信長、光秀、秀吉のそれぞれの心の有り様を描いた名品。
 
コメント
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