レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「おる」

2009-05-26 05:51:34 |   ことばや名前
 いまけっこう評判の実録エッセイマンガ『日本人の知らない日本語』(メディアファクトリー)。外国人に日本語を教える講師の奮戦。出てくる知識は私も知らないことがたくさんあり、タイトルも偽りなし。任侠映画マニアのフランス人マダムと時代劇好きのスウェーデン娘の珍妙なやりとりとか、思いもかけぬ点で日本が感心されるとか。
 事務員の日本語のミスを「生徒の手前気をつけて下さい」と指摘していたことのひとつに「おられる」という言い方がある。「おる」はそれじたい謙譲語なので、「おられる」はヘンなのだ。(「申される」と同様だな) 理屈としてわかるけど、なんとなく、語感としてピンとこない。「どこですか?」--「ここにおります」ならば謙虚だけど、「ここにおる」だと、むしろふんぞりかえっているみたいだ。
 「している」を尊敬語にする場合、「していらっしゃる」は正解だろう。「されている」は使われているけど、こういう、れる・られる型で尊敬語を代用することを私はたいへん嫌いである、受動態とまぎらわしくて。「する」の尊敬語としては「なさる」というわかりやすくすっきりとした言葉があるのになぜこれを使わずに「される」に偏っているのか憤慨にたえない。
 「やられる」も現実に耳にする。しかしなぁ、「やる」は「する」の、むしろ粗野な言い方ではないかい、別に悪い意味も加わるし。それに「られる」をつけるのは大いに無理があるだろうに。
コメント (2)
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