レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

イベリア、カナリス、「7月20日」

2008-07-20 06:37:56 | ドイツ
先月から読んでいる逢坂剛の『イベリアの雷鳴』に始まるイベリアシリーズ。6巻予定で、その5冊めが出たと講談社の冊子「本」に紹介されていた。逢坂剛といえば、『新選組血風録』上映会に来たこともあって若干親しみを持つ理由があることに加えて、このシリーズは第二次大戦の欧州が舞台で実在の人物もぞろぞろということで手を出す気になった。
 主人公は、日系ペルー人の宝石商と名乗りスペイン等で活動している北都、実は中野学校を出た日本軍人。兄はスペイン内戦でフランコと戦って惨殺された。
 その北都が英国の情報員ヴァジニアとビミョウな距離感を経て結局は恋におちているが、それぞれの祖国は敵対関係にあって悩ましい。
 北都が少年のころに日本で助けたゆきずりのドイツ人が、のちの軍防諜部(アプヴェーア)長官、カナリス提督で、それぞれの立場は尊重しつつも親子のような情を持っていてくれる。(日本に来たことがほんとにあるか知らんけど) 北都の兄がフランコの命令で酷い処刑をなされたことにお悔みを言うのは、のちの歴史ーー「7月20日事件」(#)に連座して刑死ーーを知っている読者として哀しいものがある。
 カナリスといえば、『鷲は舞い降りた』、『エニグマ奇襲指令』等にも登場している。ねもと章子『ヘルメスの翼のもとに』(『ヘルメスの紋章の秘密』『地上より永遠に』と続く「レートルシリーズ)にも。(ロシアタバコの強烈さにゴホゴホ、の場面は『わしまい』がモトネタだな) 
 5作目『鎖された海峡』は図書館で予約したけど、12人待ちだ。

 この項、「本」と「歴史」と「ドイツ」のどこに入れるか迷うけどとりあえずドイツ。

 7月20日ということで投下。

#「7月20日事件」--1944年7月20日に起きた、陸軍将校たちを首謀者とするヒトラー暗殺未遂事件。
コメント (2)
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