goo blog サービス終了のお知らせ 

レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

「儀じょう」は美しくないぞ

2019-08-24 13:11:12 |   ことばや名前
 数日前に新聞で見た雑誌の広告。
「MAMOR 美しい日本の儀じょう」
「M
AMOR152」

「自衛隊の精強さを示す
美しい日本の儀じょう
自衛隊第302保安警務中隊強く美しき男たちの肖像
特別儀じょうを行うことを許された唯一の部隊とは?
華やかな舞台の裏にある厳しさ特別儀じょう訓練に密着
そもそも「儀じょう」って何?」

「儀仗」と書くわけにはいかないのか?
「儀じょう」などという書き方で美しいと思えるか?

 ニュースによくある例でほかに挙げれば、「補てん」「だ捕」「ら致」など。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茶色の不思議

2019-04-19 13:09:39 |   ことばや名前
 ふと思った、茶色という名称は奇妙だ。
 英語だとbrownという語にだいたいあたるものとして使われるが、実際にあるお茶は必ずしもブラウンではない。黄色や緑も多い。
 もっとも、「緑茶」「紅茶」という名称がわざわざあるところを見ると、逆に、ふつうのお茶は「茶色」が基本なのだということを意味しているということだろうか?
 なお、私が日常で飲むのは、ほうじ茶とウーロン茶その他いろいろブレンドでブラウンの色のものか、緑茶だけど薄いから黄色になっているものが主流である。
 ついでに言えば、英語のorangeは「だいたい色」「みかん色」と同じとは限らず、褐色と言える色まで含むそうである、鈴木孝夫さんの本で読んだことがある。モンゴメリの『アン』邦訳の中に、「みかん色の猫」という言葉があることを一例として話題にしていた。Lipも「唇」だけでなく、その周りも指している(だからlipにヒゲがはえていたりする)とか。外国語を照らし合わせる際に、必ずしも一語対一語にはならない。

 『マリア様がみてる』でも、ピンクの薔薇を日本語ですっきりと呼ぶ言い方のないことがツッコまれていた。ピンクを日本語で言えば普通は「桃色」、でも「桃薔薇」ってヘン。「桜色」も「薔薇色」も、この際困ってしまう。
 あっ、バラも、白も黄色も色があるのに、「バラ色」といえばピンク系統に限定されてしまっているという点で「お茶」と同じ境遇にあるのか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レオとレオナ

2019-02-20 16:28:38 |   ことばや名前
 このブログで以前、ノーベル賞とった物理学者の江崎玲於奈氏の名前について、なんで「レオナ」なんだ、これでは女名前だろー!?と非難したことがある。2010.11.23の記事である。
「名前と性別」

 先々月あたり、新聞の「話の肖像画」でその江崎氏の談話が載った。引用。

 父は最初、獅子の如く勇敢になれということで「レオ」にしようと思ったのですが、今までにない名前ですから役所の人が驚いて「レオナ」とする方が据わりが良いのではと言ってきた、という話を花から聞きました。(略)外国に行くとレオというのは非常に簡単でみんな覚えてくれる。国際的に活躍するのには、良い名前だと思います。
 
 引用終わり。

 --ということは、役所の人の責任だったのか!
(次の息子の「融悧亜」ゆりあ のときもなにか言われたのだろうか?)
 
 先日mixiに、「海外でも通用する!「外国語の響きをもつかわいい女の子の名前」20選」という記事が載った。サラとかメイとかレイなんてのはわかるが、日本人の名前としていまどきでもそれはどうかというものも混じっていた。
 もろに「平たい顔族」そのものなのにガイジンじみた名前などつけられてしまうのも不憫ではなかろうか。そしてグローバルな活躍なんて望んでもいなかったらなお悪い。
 せめて、夜露死苦的当て字だけはしないであげて!と第三者としては思う。
 私の友達に、アメリカと日本を往復していた一家がいて、娘たちは「ルミ」「エミ」だった。どちらでもわかりやすいまともな名前である。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

すてきに美味い

2019-01-03 07:26:17 |   ことばや名前
 戦前のマンガ『のらくろ』の復刻版を数冊弟が持っていた。友達の買ってきたお菓子をぱくぱくと遠慮なく食べながら「こいつはすてきにうまいぜ また買ってこいよ」という場面があった。状況のおかしさとともに、「すてきにうまい」という表現が現代感覚ではなじみのないものなので印象に残った。
 別の場面、『怪獣退治』(「くわいじゅう」か「くわいじう」か、ともかく「か」ではなく「くわ」か「くゎ」だった))でも「なにしろすてきな力があるのでこいつをとらえるにはえらい骨折りをしました」、こちらでもことばの使い方がいまとはやや違う。

 先日読んだ『東京百年物語 2』というアンロソジーに載っていた川端康成の『招魂祭一景』(1921年=大正10)で、「眼球の悪光りしている素的に耳の大きい鳥打帽の学生らしいのと」という描写を見つけた。文脈からして、いまの「すてき」の意味ではとうていなさそうである。
 手元にある小さい辞書をひくと
「すばらしい」の「す」に「的」のついたことば。
1. 心をひきつけられるほどすぐれているようす
2. (俗)ものすごい 例「すてきにはやい」
とある。
 上記『のらくろ』や『招魂~』の使い方が「2(俗)」で、現在一般的なのは「1」のほうということになる。
 「2(俗)」は、いまならば「チョー」というところだろうか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

〇〇をがまんする

2018-11-21 14:07:39 |   ことばや名前
 mixiの記事のピックアップで、「歯磨きをがまんするネコがかわいい」というタイトルがあった。ネコが歯磨きをしたがるものか?と思ったら、口をあけて歯磨きされているネコだった。
 「〇〇をがまんする」は、〇〇したいけどしないでいる、 〇〇したくないけどする、正反対の意味になるということに気がついた。
 甘いものをがまんする、だと、(ほとんど)食べたいけど食べない、
 苦い薬をがまんする、は、嫌だけどのむ。

 これが、「宴会を~」「カラオケを~」だと両方が考えられる。

 「運動をがまんする」――私のような奴ならば「する」ほうに忍耐が必要なんだが、動かずにいることが苦痛な人間もいるのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「可愛い系イケメン」

2018-09-27 05:27:41 |   ことばや名前

 mixiで紹介された「マイナビウーマン」の記事にこんな書き出しがあった。


 可愛い顔をした男性を「可愛い系イケメン」などと呼ぶことがあります。どういう男性を指しているのでしょうか。可愛くてイケメンとは、なんだか相反する言葉にも思えますよね。実際にどんな人が「可愛い系イケメン」という認識なのでしょうか。女性陣へ聞いてみました。

 引用終わり。
 このあとはどうでもいい。
 私がからんでやりたくなったのは「可愛くてイケメンとは、なんだか相反する言葉にも思えますよね」の部分!
 「イケメン」という言葉を私は大嫌いであることは散々書いているけど、それはおいといて、この言葉を、顔のいい男という意味だと解釈するとして、それならばなぜ「可愛い」と相反するなどと思うのか。(「かわいい」と「美人」はたびたび混同して使うくせに!) 「可愛い」と、「ニヒル」「渋い」の組み合わせならば納得できるけど。
 「可愛い系イケメン」といって私が真っ先に挙げるのは、ドイツサッカーのクローゼである。
 『相棒』の亀山君、つまり寺脇康文もその典型であろう。
 もちろん栗さん。この人の場合、ニヒル、渋い、という言葉も満たしている。端正で上品でキリリと凛々しく、かつ可愛さもある。

 その周辺から挙げれば、栗塚トシさんとゴールデンコンビだった近藤役の舟橋元さん、『燃えよ剣』の新八の黒部進さん(ハヤタ)。
 
 「可愛くない系美男」は、たぶん、レオナルド・ダ・ヴィンチ。絵が本人に似ているならば。

 「可愛い系美女」、オードリー・ヘップバーン、ソフィー・マルソー。
      シシィ マダム・レカミエ
 「可愛くない系美女」 ミシェル・メルシエ(『アンジェリク』)
   ジャンヌ・モロー ソフィア・ローレン

「可愛い」のは好きだけど、甘ったるくてバカそうなのは嫌いだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「男優」

2018-07-28 09:58:25 |   ことばや名前
 mixiの記事に「また共演してほしい男優・女優は?」というアンケート結果が載っていた。私は芸能人に詳しくないし、テレビドラマや映画をあまり見るほうでもないのでそのテーマじたいに関心はないし、名前を挙げられてもわからん。
 それよりも気になったのは、コメント欄の「男優なんていうからAVかと思ったら」、「AV以外で男優なんて言うか?」という類の感想。
 まえに、酒井順子本の感想ついでに書いたことがあるが、「男優」という言葉がポルノを連想させるという感覚は存在するらしい、それはいちおう知ってはいた。しかしな、この文脈は「女優」と対にしての使い方である、それで「俳優と女優」なんて書いてあるほうが不自然だろう、少なくとも私はムカっとする。「俳優」は男女含んでいるはずで(歴史的にそうでない時代・文化圏はあるが)、女優も込みなのかどうかわざわざ明記が必要なことのほうがおかしいだろう。
 その点なぜか「声優」は両方があたりまえで、どちらかに限定するならば「男性」「女性」がいずれの場合にもつけられているという印象がある。
 「俳優」で思うのが男に傾く現状はなかなか変わらないとしても、
せめて、「男優」=エロに使う言葉、という認識くらいは薄れていってもいいのではなかろうか。

 それとも、「男優」という言葉だけで、エロと察してくれ、という思いやり要求なのだろうか?

 しかし、ずばりと言いにくいという決めつけもまた失礼かもしれない。

 難しい。


 私が言いたいのは、人間=男ではない、多くの職業名は男に連想が傾いていることは不当だ、といういつもの主張なのであるけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「佳作」のニュアンス

2018-05-20 14:39:46 |   ことばや名前
mixiの「つぶやきネタ」で、「傑作とまでいかないけど佳作だと思う映画」というお題があった。
 「佳作」は「傑作」よりもランクが下とされていることに抵抗を感じる。
 手元の小さい辞書「三省堂国語辞典」では
「すぐれた作品」とある。
 しかしすぐに用例として「選外佳作」なんてものが出ている。
 たぶん、「入選」できなかったものにこういう名称の賞を与えているから、あまり上でないような感じを持たれてしまうのだろう。
 私個人としては、「佳作」とは上品な響きがあると思う。(「美人」より「佳人」のほうが風格がありそう)
 世間で騒がれるほど有名ではない、派手やかではない、しかし味わい、深みのある良い作品、そのようなニュアンスを感じる。
 名作、傑作、良作、それぞれの雰囲気やとらえ方は個人差もあるが、少なくとも、「佳作」が傑作や名作よりも劣るものだとは決して思わない。

 なお、「佳作」という言葉がしっくりくると私が思う映画は、『わが愛の譜 滝廉太郎物語』『シューベルト 未完の旅』等である。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「好き」と「得意」

2018-03-09 09:15:58 |   ことばや名前
 先日mixiのある記事で、「ハーブが得意でない夫は~」という表現を目にした。私の発想では、「ハーブが得意」と言ったら、ハーブを育てること、またはハーブを使った料理が上手であること、ということになる。しかしこの文章では、「好き」という解釈しかできなかった。

 また、別の記事では、「子供が得意でない」もあった。・・・「子供の相手が」ならば「得意」でわかるが、こちらもたぶん、好きかどうかを言っているようだった。

 「得意」とは、上手にできることを言うのではないのか? 「嫌い」の代わりに「苦手」ということがよくあることは知っているけど(対象が人間の場合私はこういう言い方は好かんけどな)、「好き」を「得意 」で替える用法が出てきたのか?

 「得意」「好き」で検索してみると、好きなことよりも得意なことを仕事にするべきか?等というテーマで出てくることが多く、「得意」を「好き」と同じ意味で使っているという傾向は発見できなかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブサイク・美形

2017-08-18 06:17:44 |   ことばや名前
 mixiに『ネタバレ注意! 『君の名は。』を絶対にブサイクが観てはいけない理由』という記事が紹介された。
 そして本文にも「この話は「女がブス」もしくは「男がブサイク」だったら絶対に成立しない」という文があった。
 内容に関してはこの際どうでもよい。
(物語においてキャラが美形であることの意味・必然性という問題には大いに興味があるけどな)
(作中で特に美形の設定なのか?引用で見る限り、アニメのメインキャラとして当然求められる程度にかわいいというくらいに思えるけどな)
 私がひっかかるのは、
「ブス」とは容貌の悪い女を指す言葉であり、その男版は「ブ男」という一般的な名詞が存在し、「ブサイク」とは男女共通する言葉なのに、この文章では「ブサイク」とは男にしか使わないと筆者が思っているように見えることである。
 同じことは、反対語である「美形」の使い方にもしばしば感じる。「美人」で女を指し、男はーー「イケメン」という私の大嫌いな言葉のほうがのさばっているがーー「美形」 と言っている例を目にする。おかしい。

 「俳優」も、男女両方含んでいるはずなのに、「俳優・女優」という並べ方は明らかに不当だろう。確かに俳優という言葉は連想が男に偏っているのは事実だけど。私自身、「俳優のように美男」はおかしくないけど「俳優のように美女」だとちょっと違和感を覚えることを白状するけど。
(そして現実には俳優がすべて美形ではない)

「看護師」が昔の話に使われている時も時代考証無視だろと言いたくなる。
『神曲』を論じているのに「ハンセン病」なんてあんまりだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする