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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

春の系外銀河Part3

2008年05月10日 | 系外銀河
久しぶりに晴れた5月6日の夜、
22時30分頃から始めた撮影が終了したのは25時30分頃。
撮影時間は約3時間、その間、透明度が良くなることはなく…
ソラノクラサは18.22等級→17.75等級→18.32等級と推移する。

途中薄雲が北極星付近で発生するが撮影には影響なし。
おおぐま座から撮影を開始して、りょうけん座、かみのけ座と
望遠鏡を向けていく。

撮影した天体は17天体…。内訳は銀河15個、球状星団2個。
10分ペースで1天体を撮影したことになります。
まさに自動導入のなせる技です。

自動導入といってもアライメントの取り方で精度は変わります。
そこでおおぐま座の天体を撮る時は北斗七星のドゥベで
りょうけん座はコル・カロリで、かみのけ座はデネボラで
アライメントをとってから導入をかけました。そうすることで
直焦点の視野には一発で入ってきます。

撮影はISO800で120sと180sを1枚ずつ…
ISOを1600まであげると感度は良くなるのですが
露出時間を適正にしないとすぐ飽和状態になるので
ほとんどの写真がISO800です。

望遠鏡がかみのけ座の銀河にむかって動き始めました。
かみのけ座は暗い星ばかりですが、実はたくさんの銀河を
見ることができる「宇宙のぞき窓」です。

始めに紹介するのはM91です。

M91(NGC4548) 明るさ10.8等、視直径3.7'x3.2' 距離3,700万光年
メシエ91は実は所在不明のメシエ天体です。このNGC4548が
M91らしいと考えられています。形は棒渦巻銀河です。最近の研究で
天の川銀河も棒渦巻き銀河だと考えられています。

次はM98です。

明るさ10.7等 視直径 8'×2' 距離 3,600万光年
M91もM98もかろうじて写っているという感じですね。

さて次はさらに遠いおとめ座銀河団です。距離は5,480万光年です。
おとめ座銀河団は1000万光年以上の範囲に約2500個の
銀河で形成されている銀河集団です。おとめ座とかみのけ座の
境界付近にあります。かみのけ座で見える明るいものは次の4つです。

M85(楕円銀河)

明るさ 9.3等 視直径 3' 距離 5,480万光年
すぐそばに写っている銀河はNGC4394(11.5等)です。

M88(渦巻銀河)

明るさ 10.2等 視直径 5'×2' 距離 5,480万光年

M99(渦巻銀河)

明るさ 10.1等 視直径 5'×4' 距離 5,480万光年

M100(渦巻銀河)

明るさ10.6等 視直径 5' 距離 5,480万光年
中央右側に見えるのがM100、中央左に見える
細長い銀河はNGC4312(12.7等)です。

現在銀河団は1万個以上発見されているそうですが
おとめ座銀河団は、私たちの銀河に一番近い銀河団
です。そのため、私たちの銀河はおとめ座銀河団の
強力な引力に引き寄せられているとのこと…。
5,480万光年も離れているのにその影響を受けるとは、
何ともスケールの大きな話です。

私たちの銀河は直径600万光年の範囲にアンドロメダ銀河
やマゼラン星雲など約50個の銀河で構成されている
「局部銀河群」に所属しています。
小集団…といったところですかね~。

かみのけ座にはもう一つ銀河団があります。
その名もずばり「かみのけ座銀河団」

明るい恒星の下、写真中央にもやっとして見えるのがNGC4874、
その左ななめ上に見えるのがNGC4889です。その周りに見える
小さなもやっとした天体はすべて銀河です。距離はなんと…
2億9000万光年! 
約3億年前の光を見ていることになります。
4億年前にオゾン層ができたので3億年前は地上には
まだ生物がほとんどいない頃…です。

気が遠くなります…。

かみのけ座には肉眼で見える散開星団Mel.111があります。
距離は288光年。3番目に近い散開星団です。

288光年から2億9000万光年の天体を一望できる星座が
かみのけ座です。暗い夜空でないと見えませんが
みなさんもかみのけ座を探してみて宇宙の広がりを
感じてみてはいかがでしょうか。

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