ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

ソーシャルワーカー

2006年02月18日 | ノンジャンル
この日、点滴処置を受けて、診察待ちをしている時に、椅子で
うとうとしていると、ワーカーさんに起こされた。寝入りっぱなで
あったので、一瞬よく分からなかったが、普段は後ろで束ねている
セミロングの髪を、ばっさりとカットして、さっぱりした
ヘアスタイルになっていた。「どうしたん、振られたんか?」と、
またしても言わずもがなのことを私は言ってしまう。

詳しくは聞かなかったが、老若男女の相手だけでも大変だろうに、
ましてや、相手は依存症とは言いながら、様々な精神状態と、
生活環境におかれている各々多様な人達ばかりである。
(もちろん、私を含めての話なのだが)
普段、お会いする時は常に笑顔でいらっしゃるが、精神的にも、
肉体的にも、並大抵のお仕事ではないし、その大変さを推し量る
事はできない。
何かあったのかなと、瞬間、頭を様々な推測がめぐるが、
余計な詮索をするのも無粋と考え、禿げ上がった自分に、分けて
くれれば良かった、もったいない等と冗談で済ませた。

私の見るところ、この病気回復に携わる仕事は、ハッキリいって
体力と忍耐の勝負だ。患者の状況を医学的、生活環境的、心理的、
あるいは、折々の精神状態的な面を把握する事は、自ずと限界がある。
比較的若い方々がワーカーとして働いておられる事も納得が行く。
しかしながら、患者とワーカーとのトラブルも時に耳にする事があるし、
文献で目にする事もある。特に多いのが、女性ワーカーと男性患者の
パターンであろう。

男性患者は、唯一親身に話を聞いてくれるワーカーさんに、
妄想を抱く場合も多いに違いない。ある意味、これは避けられない
事ではないか?避けられない可能性であるが故に、そのあたりの
けじめというか、一線というものが厳しく引かれているようだ。

以前、体験談をまとめた物をフロッピーで先生と担当ワーカーさんに
お譲りした私は、この時、折々にテーマに沿って書き記している
考察についても、参考となればと思い、ワーカーさんのPCの
メールアドレスを不覚にも聞いてみたが、以前に、似たような事で
問題があったらしく、それは医師の許可が無ければ不可との事であった。

考えれば、私はあまりにもその事を安易に考えすぎていた嫌いがあるが、
個人情報という点では、至極当たり前の話である。
少なからず、自分の軽率さに反省しきりであった。

商社勤めで、いわゆるSECURITYについては、レベルの高い認識を
持っていると自負していたのだが、あまりにもお粗末な失態に、
後になって冷や汗ものであった。

ただ、私の担当となった頃は、まだ経験も浅く、俗に言う、
ペーペーのワーカーさんであったので、その初担当の一人という事に
敬意を表して、実患者の体験、その後の回復過程においての、
折々の考察を提供する事で、必ずそのワーカーさんにとって、
何かプラスとはなっても、マイナスとなる事は無いという、驕りも
少々あったようだ。

現実的には、断酒を開始したばかりといえる私と、その担当となった
ワーカーさんということで、今後、お互いに勉強もしながら、
経験を分かつという点では、互いに納得できる事であろうと考える。

少しくお話をして、私にとっては断酒を継続する一つの糧として、
ワーカーさんにとっては、実際の患者の考えや、経過、変化などを
考察する材料として、私が記したものを都度、お渡しする事にした。
現代のメールでのやり取りではなく、私が通院して、お会いした折に
お渡しするという、古式豊かな、ラブレターという格好だ。

もっとも、色気もくそも無いラブレターではある。


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