ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

お酒を飲めない人、お酒を勧める人

2006年02月18日 | ノンジャンル
昔は、お酒を飲めない、口にしないと言う人を、どうしても
理解出来なかった。祝い事などで、乾杯の為の一杯ぐらい、
どうって事は無いとも考えていたし、第一、女性ならともかく、
お酒の飲めない人と同席しても楽しくなかった。で、ついつい、
一杯ぐらいという事で、無理に勧めてしまっていた。

今は、反対に勧められても飲めない事をその都度説明して、
丁重にお断りしている。
そのことで、相手を不快な気分にさせないよう、あの手この手で
場を盛り上げるのは、結構骨が折れる。仕事上、お酒の場というのは
非常に多く、接待する側であっても、接待される側であっても、
非常に気を遣う。

それで、こちらが接待する場合は、なるべく自分の状況を
理解していて、お茶を出してくれる店を食事、二次会などで使い、
気分的な負担を軽くする事で、多少は凌いでいるが、
お酒を同じように飲みたいという気持ちはさらさら無いものの、
長時間に渡ると、辛いものがある。とにかく、眠いし、
飲んでいた頃と違って、疲れが大きく翌朝に残る。

しかしながら、昔と変わらず、私を誘って、食事や、話や、
カラオケや、店の女の子との話やと、楽しい時間を過ごさせて
くれる方も多い。

今お世話になっている会社の社長などは、このパターンだ。
専務などは逆に、私をそういった機会から、なるべく遠ざけようと
腐心して下さっている。
お酒に囲まれて、飲んで当たり前の場所で一滴も口にしない自分を、
密かに「なかなかやれるやん。」と、自尊心を満足させていた事も
あったが、よくよく考えると、その大事な場面に必要な人間で、
且つお酒は一滴も飲ましてはならないという、難しい注文を
しっかり受け止めて誘ってくださる社長や、逆に、心配して頂いて、
極力お酒の場には出ないで済むように苦心されている専務。
ある意味において、それも大変なことであり、自分としては、
感謝しきれないほどのご厚意である。

今にして、気付く事が出来たというのも、自身の独善性が、
強かったせいもあるだろうし、自分の感情を中心に考えていた
せいであろう。今、それを恥ずかしく思うのである。

今年に入って、大きなイベントは、1月に東京で商談があり、
かなり大掛かりな物件であった為、社長、専務も同行の上、
3人で交渉の打合せに入った。結果は上々で、その日は、
日帰りの予定であったのだが、金曜日という事もあって、
社長が泊まっていくようにと、私に投げかけた。
私は快く請けたのだが、予定があって、帰阪しなければならない
専務は心配して、社長に私がお酒を飲めない事を念押しして
下さった。
「そんな事は充分以上に解っている。」という社長の言葉で、
専務は安心されたようだ。その夜は、祝杯となった。もちろん、
私はウーロン茶で乾杯だ。

周りの人の気遣いと、思いやりに支えられて、楽しい一時を
過ごさせてもらった。
今や、東京でも、大阪でも、お酒無しで心置きなく楽しめる
店が増えた。

もう一つ、この2月に再びドイツのお客さんが来日し、
2日間の予定で、出張、会議を行い、二晩連続で東京、大阪の
夜を楽しんだ。外国人の場合は、特に楽だ。こちらも、心置きなく
楽しめる。東京では社長と3人で、大阪でも、部下と3人で、遅くまで
過ごした。ミナミから関空までは遠いし、夜遅くなってしまうのは
目に見えていたので、東京からの帰りに、自宅に寄って、荷物などを
車に積み、そのまま私の運転で、ミナミへ向かった。大阪は初めての
夜だったので、大いに盛り上がり、夜中まで過ごした後、部下を自宅へ、
お客さんを関空のホテルまでお送りした。

久し振りの真夜中の運転だったが、もちろんの事、幻覚も何も無い。
ただ、送った後に、自宅へ帰る道中、ちょっとした不安はあった。
疲れもあったし、何にも増して、幻覚の出ていた時に、妻の運転で
夜の道路を走っていた時に走馬灯のように見えた幻覚の印象がまだ
ハッキリと脳裏に焼き付いている。街灯や、カーブの向こう側、
他車を追い越す時などに、「ひょっとして」という不安がよぎる。
幸い、何事も無く、無事に家にたどり着いた。まあ、離脱症状の
ピークの時のような事はもう無いかと、安堵した。

いずれにせよ、断酒を継続している私は、酒酔い運転とはもう
無縁となった。つまり、車で繁華街に出掛けて、いくら遅く
なろうとも、車で帰って来れるのだ。これは、飲めないのに繁華街に
いる淋しさもあるが、別の意味で安全に人を送る事が出来るという
喜びもある。

昔、罰則が今ほど厳しく無かった頃、お客さんの帰る方向と同じで
あった事から、お客さんの車で、自宅まで運転した事がある。
夜中の2時を回っていたであろうし、私自身も、かなりの酒が
入っていた。大き目のセダンであったから、ある程度は安定して
いたであろうが、自分では普通のつもりでも、お客さんは少なからず
恐い思いをされたようだった。他にも、自損で車に少々傷をつける
事もあったが、酔っていると気分が大きくなるので、どうしても
スピードがあがってしまう。よくもまあ、事故を起こす事が
無かったものだと感心する。目が据わった状態で運転していた時も、
検問では饒舌に飲んでいないと言い切り、笑顔で警官に問われるままに
すらすらと受け答えをし、なんらお咎めが無かったという事も
しばしばあった。

今考えれば恐ろしい限りだ。



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