ひろせ明子の市議日記

無所属・無会派。
市議として日常で見たこと・感じたことを綴っています。

化学物質で脳にダメージ?!

2012年05月15日 | 環境
表題の講演会が5/12に船橋駅前のきららホールでありました。
講師は脳神経科学者・医学博士の黒田洋一郎氏です。
以下は講演要旨です。
増え続ける子供たちの様々な異変、化学物質がかなり影響していることがわかります。

●有機リン農薬に汚染された子供にADHD(注意欠陥多動性障害)が多いという米国の疫学調査が報道されたのが2010年5月(朝日新聞夕刊)子供の脳神経系の疾患や障がいは米国では20世紀後半から増加している。日本でも近年高機能自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)が増加している。
原因は、化学物質複合汚染などの環境の変化に起因するとする研究者が増えてきている。
2011年4月には、Environmental Health Perspestivesで有機リン農薬の暴露で子供の記憶やIQなどへの悪影響があることのデーターが示されたそうです。


●なぜ発達障害の原因として化学物質が疑われたのか?
①遺伝子そのものの変化ではない。数十年では万単位の子供に同じ遺伝子変異は起こらない。
②発症しやすさに関係する遺伝子はあるが数が多く、発達障害の症状の多様性は個性の違いとも連続
③環境の変化が原因;脳内の物理化学的変化、家庭社会環境の変化=治療、回復、予防の可能性
④ことに環境化学物質(PCB、農薬など)の汚染が疑われる。1950年代ごろから米国での農薬汚染(沈黙の春)。日本、公害、水俣病。現在は胎児をはじめ複合汚染。
⑤子どもの脳への安全性が調べられないまま、農薬など化学物質が環境に放出され、食品などを通じて人体に蓄積し、胎児や乳児の脳も汚染されている。胎児性水俣病が典型

●どのように農薬など環境化学物質で発達障害がおこるのか
①心の病は脳の傷(ダメージ)うつ病、統合失調症も脳の発達の異常?
②心の働き(行動)は全てそれぞれに対応する脳内の神経回路の働きによる
③神経回路は化学物質(神経伝達物質)で働く
④神経回路の発達も化学物質(神経伝達物質やホルモン)で調整
⑤脳内で働く化学物質に似た環境化学物質(にせもの)が胎児、乳児の脳に入ると、神経回路に異常
⑥異常のおこった神経回路の担う行動だけ、障がいが起こる…発達障害(他は正常)

●殺虫剤などの農薬の毒性問題 
①昆虫の脳神経系への毒性で殺虫作用
②ヒトご昆虫で脳神経系を作り上げ動かしている生理化学物質、仕組は基本的に同じ。
④殺虫剤は原理的に人の脳神経系にも悪影響があるので、ヒトに完全に無害であることは不可能
⑤不完全な毒性試験で許可し、健康被害がわかると別の農薬に取り換えて発売を繰り返す歴史
⑥無農薬運動が盛んになっている背景

●神経伝達物質と類似した化学物質 
①アセチルコリンに似た天然物ニコチン
②それに似たネオニコチノイド:アセチルコリンと同じように脳の神経回路に働く
③アセチルコリンなどは神経回路の発達にも働く
④ドーパミンなど似た抗うつ薬
⑥内でドーパミンが働くところに全部働くので、副作用がある。抗精神薬に副作用が多い理由
⑦いずれにしろ脳は億艇の化学物質で働いており、外から似た化学物質が入ると、攪乱されやすく、障がいが起こる

●発達期脳は人工化学物質により脆弱
複雑な脳を受精卵から作り上げるには、数万の遺伝子を順序正しく、適切に調節して働かせ、たんぱく質を作る。
遺伝子発現の調節に各種ホルモン、神経伝達物質をはじめ、生理化学物質がつくられている。
そのためホルモン作用のある環境ホルモン、にせ神経伝達物質など生理化学物質類似の人工化学物質によって、例え低用量でも遺伝子発現が攪乱され、様々な病気、障がいが起こる。
昆虫類、哺乳類の進化の究極で、限りある情報化学物質、遺伝子群でどうやら作り上げられるミツバチとヒトの脳高次機能がまず生涯されるのは当然?

●ミツバチ大量死はネオニコチノイドなど農薬汚染による発達障害?
①死んだミツバチから脳機能に重要なアセチルコリン系阻害するネオニコチドイドが検出されている。
⑦働き蜂にネオニコチノイドを投与すると方向感覚を失うなどの行動異常を起こす。
⑧幼虫の食べ物(花粉)がネオニコチノイドなどの農薬により複合汚染されている。
⑨一般に幼虫の脳の発達は化学物質により敏感なので、大人のハチに影響のない微量でも採蜜・帰巣行動のできない次世代が生まれてしまう。
⑩次世代の働き蜂が一斉にいなくなり、巣は全滅。

●新農薬ネオニコチノイドの性質
ネオニコチノイド:新しいニコチン様物質
①無味無臭で残効性・拡散性が高い
②浸透性で作物内部に多く吸収され洗っても落ちない。種子をネオニコチノイドに浸すスト成長した植物にも残留し、虫を防除できる。
③神経毒性、神経伝達物質アセチルコリンの受容体
ニコチン性アセチルコリン受容体に結合
昆虫特異性が高いが、ヒトで安全というわけではない。

●農薬の危険性 
①毒性の強い新しい農薬、ネオニコチノイド
②今までは生き残っていたミツバチの大量死が予兆
③発達障害の原因とされる有機リン農薬と置き換えられつつあるが、より直接に脳の発達を傷害する可能性が高い
④もともと農薬の安全性試験は不十分で、脳の発達への安全性は全く確かめられていない
⑤食品などからの「内部被ばく」なので、摂取量がわかりにくく、障がいが起こっても因果関係が立証しにくい
⑥農水省、農薬会社、農協の癒着で、安全性の問題点が隠ぺいされやす(農薬村)
⑦もともと第二次大戦の神経ガスのの「平和利用」

講師の黒田氏


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