日々の感じた事をつづる
永人のひとごころ
梅方誠亮先生のこと 最終回
梅方誠亮先生のこと
三
家内が習い始めのころは15名ほどだった生徒はいつの間にか35名ほどに増えた。隔週でAとBの2班に分かれて指導を受けていた。
2年ほど前から、先生は時々講義を休むようになり、何となく痩せて見えるようになったそうで、多分、そのころから病院通いが始まっていたのではないかと思われた。
今年の2月ごろから家内が言うようになった「先生は時々無言で窓の外をじーっと見つめていることがあるんですよ」
「それは、この世の景色の見納めを意識しているのじゃないか?ある意味で、覚悟を決めているのじゃないかな・・・そう思うよ」
「・・・・」
3月1日・2日陶芸の教室があり、家内も参加したが、いつも静かで無口な先生がはしゃいだり、笑ったり、色々話したり初めてそういう姿を見せ、自分の陶芸に使う道具を「私は使わないので皆さんで使ってください」と持ってきて置いて帰ったのだそうだ。
「げっそりと痩せた状態だった」と言う。
「本人が予感しているな。覚悟しておいた方がいいな」
「まさか?・・・でもそうなのかしらね・・・」
「頭の毛は?」
「すっかりはげた事があったけれど、最近は少し生えてきた感じ」
「なんだそれ、放射線の治療を受けていたんじゃないのか?何せ、ワクチンも射っているだろうし、その後の癌は“ターボ癌”と言って非常に進みが速いそうだ。どう考えても・・・」
「もうやめてください・・・」
2023年3月14日火曜日の朝6時、
家内が「陶芸の梅方先生が亡くなってしまいました」と言う。
地元紙の死亡広告記事に掲載されていた。
喪主・梅方美季(外格19大凶)
母 ・斎藤敬子(人格34外格20大凶)
義父・梅方史雄(人格9大凶)
義母・ 朋子(人格12外格4大凶)
全員家族縁の薄い凶運気を有している。
35名の生徒のうち葬儀に参列したのは家内を含めてたったの4人。考えられない程、情の薄い世の中になった。 合掌