事件の背景にあるもの・その４・父親だけが悪いのではない

事件の裏にあったもの・その４

父だけが悪いわけではない

自分なりの対処方法を心得ていたはずの男が、何故事件当日に限って妻を殴ったのか？それも致命傷になるほどの強さで。

 男は公判で当時の心情について

「自分に対して『お前』という言葉。

妻が急に『２次会に行かない』と言いだしたこと。

『お金のこと』・・・などなどいろいろ言われて、なんでこんなに一生懸命働いてんのに、そんな言い方されなあかんねん！」と今まで我慢していたものが全部キレてしまった」と述べた。そのうえで、

「車の中の出来事で、いつものような逃げ場がなかった。傷つけるつもりはなかった」とうなだれた。妻に対する男の我慢は、周囲の目にも明らかだったようだ。

証人出廷した男の長女は、「父だけが悪いようには思えない。重い処罰は望みません」と涙を流し、

妻の弟も、「義兄は温厚で優しい人。これは事件ではなく事故。刑を軽くしてほしい」と訴えた。

 配偶者に暴力をふるう『ドメスティック・バイオレンス（ＤＮ）や相手を侮辱するなどして心理的に追い詰める『モラルハラスメント』の被害者は必ずしも女性だけではない。　続く