事件の背後にあるもの・その２

事件の背景にあるのは？

その２

妻の座る助手席の背中部分を後部座席から殴った。「ただ黙っ

て欲しかった。座席を殴れば怖がって黙ると思った」と、この時点ではまだ冷静さが残っていた。

 だが妻は気にする様子もなく、ぶつぶつと独り言を言い続けている。「まだ言うてんのか」と頭に血が上り、拳で右耳の後ろを殴った。

 ３０年以上一緒に暮らしてきた妻に初めて振った暴力だった。驚いた長女が母親をかばおうとしたが、両手で頭を押さえながらもなお、呟き続ける妻を目がけ、拳を４～５回突き出した。

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８日後妻の体は冷たく

結局２次会には男だけが出席し、妻と長女はそのまま帰宅した。

翌日から妻は『頭が痛い』『フラフラする』と体調不良を訴えるようになり、６日から再開する予定だった居酒屋も一向に始めようとしない。

 気になった男は『大丈夫か？病院に行くか？』と毎日尋ねたと言うが、妻が受診することは無かった。

 そうして新年会から８日後の朝、妻に異変が起こった。男が起床して居間に行くと妻が正座の状態で体を前に折り曲げ、頭を床に着けるという不自然な格好でいびきをかいていた。

『変な格好で寝ているな』と思いつつ、男は朝食を買いに表へ。帰宅して妻と二人分のパンと卵を焼いたところで、まだ同じ格好でいる妻が気になった。「そんな恰好をしてしんどないんか？」と妻の体をゆすった時には、すでに妻は冷たくなっていた。

直ぐに１１９番して病院に搬送されたが、妻は殴られたことによる亜急性硬膜下血腫で死亡した。続く