杜牧は晩唐の詩人です。家柄もよく、26歳で科挙に及第した秀才で、江南の官吏になりました。若い頃はよく遊びましたので風流才子などといわれ、詩才も豊かでした。
杜牧の漢詩を二つ紹介します。
江南春
千里鶯鳴緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中
千里鶯鳴いて緑紅に映ず
水村山郭酒旗の風
南朝四百八十寺(はっしんじ)
多少の楼台煙雨の中(うち)
広々とした平野のあちこちから鶯の声が聞こえ、木々の緑が花の紅と映じあっている。
水辺の村や山ぞいの村では、酒屋の目印の旗が春風になびいている。一方、都の金陵(現・南京市)には、南朝以来の寺院が数多く建ち並び、楼台は春雨に煙っている。
清明
清明時節雨紛紛
路上行人欲断魂
借問酒家何処有
牧童遙指杏花村
清明の時節雨紛紛
路上の行人魂を断たんと欲す
借問す 酒家何れの処にか有る
牧童遙かに指さす杏花の村
時は清明、春雨がしとしとと降る
路行く人、すなわち作者の魂は断ち切れんばかり
(断魂はとても悲しい気分の意)
酒でも飲もうかと、酒家を尋ねた。
牛飼いの少年は彼方を指さした。そこには杏の花咲く村がある。
隠者と牧童と杏の花咲く村、仙境の趣が感じられる風景です。
「清明」は二十四節気の第五、旧暦の二月後半から三月前半です。南京の辺りでは雨が多いのでしょう。
石川忠久 「漢詩紀行」 日本放送出版協会
杜牧の漢詩を二つ紹介します。
江南春
千里鶯鳴緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中
千里鶯鳴いて緑紅に映ず
水村山郭酒旗の風
南朝四百八十寺(はっしんじ)
多少の楼台煙雨の中(うち)
広々とした平野のあちこちから鶯の声が聞こえ、木々の緑が花の紅と映じあっている。
水辺の村や山ぞいの村では、酒屋の目印の旗が春風になびいている。一方、都の金陵(現・南京市)には、南朝以来の寺院が数多く建ち並び、楼台は春雨に煙っている。
清明
清明時節雨紛紛
路上行人欲断魂
借問酒家何処有
牧童遙指杏花村
清明の時節雨紛紛
路上の行人魂を断たんと欲す
借問す 酒家何れの処にか有る
牧童遙かに指さす杏花の村
時は清明、春雨がしとしとと降る
路行く人、すなわち作者の魂は断ち切れんばかり
(断魂はとても悲しい気分の意)
酒でも飲もうかと、酒家を尋ねた。
牛飼いの少年は彼方を指さした。そこには杏の花咲く村がある。
隠者と牧童と杏の花咲く村、仙境の趣が感じられる風景です。
「清明」は二十四節気の第五、旧暦の二月後半から三月前半です。南京の辺りでは雨が多いのでしょう。
石川忠久 「漢詩紀行」 日本放送出版協会