yoshのブログ

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月明らかに星稀に

2024-09-27 06:36:23 | 文学
1082年に成立した蘇軾の「前赤壁賦」の中ほどに「月明らかに星稀に」の句があります。
  客曰ク
  月明ラカニ星稀ニ
  烏鵲(うじゃく)南ニ飛ブトハ
  是レ曹孟徳(そうもうとく)ノ詩ニ非ズヤ
  西ノカタ夏口ヲ望ミ 東ノカタ武昌ヲ望メバ
山川相纏(まと)ヒ 鬱乎(うっこ)トシテ蒼蒼タリ
此レ孟徳ノ周郎ニ困(くる)シメラレシ者(ところ)ニ非ズヤ 
   
      「赤壁の戦」(208年)で、魏軍が呉軍に敗北した場面を述べています。
一方、「曹孟徳ノ詩」とは魏の武帝、曹孟徳の「短歌行」という詩のことです。この「短歌行」の中に、次のようにあります。

   月明星稀
   烏鵲南飛
   繞樹三匝
   何枝可依
   山不厭高
   海不厭深
   周公哺吐
   天下帰心

       「読み方」

   月明ラカニ星稀ニ
   烏鵲(うじゃく)南ニ飛ブ
   樹(き)ヲ繞(めぐ)ルコト三匝(さんそう)
   何(いず)レノ枝ニカ依ルベキ
   山 高キヲ厭ハズ
   海 深キヲ厭ハズ
   周公 哺(ほ)ヲ吐キ
   天下 心ヲ帰ス

   「訳」
  月が明るく輝いて星影が薄れるころ、烏鵲(かささぎ)は南をさして飛んでゆく。高い木のまわりを三度もめぐり、止まるべき枝をさがしている。山はいくら高くなっても厭わないし、海は水がいくら深くなってもかまわない。いにしえの周公は一食に三回も食べかけの物を吐き出す熱心さで賢才に接したからこそ、天下の人びとの心が彼につき従ったのである。
曹操もそれを羨んだのです。

       石川忠久 「NHK漢詩紀行 三」NHK出版



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