南唐の三代目、李煜(りいく)は、政治には不向きで、宋に下り、宋の都開封に軟禁されました。李煜は、文芸の才の持ち主で、音楽、絵画にもすぐれ、詩においては“詞”の第一人者としての名が高く、軟禁中にも名詞をのこしました。「浪淘沙令」は宋の都汴京(べんけい)、現在の開封での作です。
浪淘沙令(ろうとうしゃれい)
簾外 雨潺潺
春意 闌珊
羅衾 不耐五更寒
夢裡 不知身是客
一晌 貪歓
独自莫凭闌
無限江山
別時容易見時難
流水落花帰去也
天上 人間
「読み方」
浪淘沙令
簾外 雨 潺潺(せんせん)
春意 闌珊(らんさん)タリ
羅衾(らきん)ハ耐ヘズ 五更ノ寒キニ
夢裡(むり)ニ身ハ 是レ客ナルヲ知ラズシテ
一晌(しょう)歓ヲ貪(むさぼ)ル
独リ自ラ闌(おばしま)ニ凭(よ)ル莫(なか)レ
限リ無キ江山
別ルル時ハ容易ニシテ 見(まみ)ユル時ハ難シ
流水落花 帰リ去(ゆ)ク也(なり)
天上 人間(じんかん)
「訳」
すだれの外、雨はしとどに降り、春の気分はおとろえてゆく。
うすぎぬのふとんは、夜明けの寒さにたえられず目が覚めた。
ついさっきまでは、夢の中で、わが身が旅路の果てにあることも忘れ、
つかのまのよろこびにひたっていたものを。
たったひとり欄干にもたれて見わたすのはやめよう。
限りなく重なる山川のむこうに、ふるさとがあるから。
人の世は、別ればかりが多く、会うのはむずかしい。
流れる水に花びらが散り、春は行ってしまった。
天上と人間世界のへだたりよ。
浪淘沙とは、川の浪が砂をあらう事であり、令は曲を指します。
小椋佳氏が作詞作曲し、美空ひばりが歌った名歌「愛燦々」の出だしは、
「雨潸々と・・」ですが、この曲を聞くと、李煜が詠んだ詞、「雨潺潺(あめせんせん)」が思い起こされます。
石川忠久 「NHK漢詩紀行「二」NHK 出版
浪淘沙令(ろうとうしゃれい)
簾外 雨潺潺
春意 闌珊
羅衾 不耐五更寒
夢裡 不知身是客
一晌 貪歓
独自莫凭闌
無限江山
別時容易見時難
流水落花帰去也
天上 人間
「読み方」
浪淘沙令
簾外 雨 潺潺(せんせん)
春意 闌珊(らんさん)タリ
羅衾(らきん)ハ耐ヘズ 五更ノ寒キニ
夢裡(むり)ニ身ハ 是レ客ナルヲ知ラズシテ
一晌(しょう)歓ヲ貪(むさぼ)ル
独リ自ラ闌(おばしま)ニ凭(よ)ル莫(なか)レ
限リ無キ江山
別ルル時ハ容易ニシテ 見(まみ)ユル時ハ難シ
流水落花 帰リ去(ゆ)ク也(なり)
天上 人間(じんかん)
「訳」
すだれの外、雨はしとどに降り、春の気分はおとろえてゆく。
うすぎぬのふとんは、夜明けの寒さにたえられず目が覚めた。
ついさっきまでは、夢の中で、わが身が旅路の果てにあることも忘れ、
つかのまのよろこびにひたっていたものを。
たったひとり欄干にもたれて見わたすのはやめよう。
限りなく重なる山川のむこうに、ふるさとがあるから。
人の世は、別ればかりが多く、会うのはむずかしい。
流れる水に花びらが散り、春は行ってしまった。
天上と人間世界のへだたりよ。
浪淘沙とは、川の浪が砂をあらう事であり、令は曲を指します。
小椋佳氏が作詞作曲し、美空ひばりが歌った名歌「愛燦々」の出だしは、
「雨潸々と・・」ですが、この曲を聞くと、李煜が詠んだ詞、「雨潺潺(あめせんせん)」が思い起こされます。
石川忠久 「NHK漢詩紀行「二」NHK 出版