yoshのブログ

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江南の春 杜牧(再掲)

2022-05-18 06:36:07 | 文学
晩唐の詩人、杜牧の「江南の春」、漢詩の中で特に好きな詩です。


江南春    

千里鶯啼緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中

千里鶯啼イテ緑紅ニ映ズ
水村山郭酒旗ノ風
南朝四百八十(しん)寺
多少ノ楼台煙雨ノ中(うち)

「訳」
広々とつらなる平野のあちこち、うぐいすの声が聞こえ、
木々の緑が花の紅と映じ合っている。水べの村や山ぞいの村では、酒屋のめじるしの旗がなびいている。
一方、都の金陵には、南朝以来の寺院がたくさんたち並び、その楼台が春雨の中に煙っている。

 「鑑賞」
杜牧は青春の時代に江南にあって、行政府の幕僚として過ごしました。
四百八十寺」の十は平仄の規定から「シン」と読むことになっています。
この詩は詩吟としてもよく吟じられています。詩柄が雄大です。

石川忠久 「NHK漢詩紀行」 日本放送出版協会
コメント
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