yoshのブログ

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送別の詩 王維

2019-05-16 06:13:25 | 文学
阿部仲麻呂が35年ぶりに日本への帰国を許可された際に、王維は送別の五言詩を贈りました。王維と阿部仲麻呂の親交の深さの証とされています。(晁とは阿倍仲麻呂の中国名)。仲麻呂は李白や王維と親交のあった超一級の日本の文化人でありました。

送祕書晁監還日本國  秘書晁監の日本国に還るを送る

積水不可極         積水 極む可からず
安知滄海東         安んぞ 滄海の東を知らんや
九州何處遠         九州 何れの處か遠き
萬里若乘空         萬里 空に乘ずるが若し
向國惟看日         國に向かって惟(た)だ日を看(み)
歸帆但信風         帰帆は但(た)だ風に信(まか)すのみ
鰲身映天黑         鰲身(ごうしん)は天に映じて黒く
魚眼射波紅         魚眼は波を射て紅なり
鄕樹扶桑外         鄕樹は扶桑の外
主人孤島中         主人は孤島の中
別離方異域         別離 方(まさ)に域を異にす
音信若爲通         音信 若爲(いかん)ぞ 通ぜんや

「訳」
大海原の水はどこまで続くのか、見極めようが無い。
その東の果てがどうなっているのか、どうして知れるだろう。
わが国の外にあるという九つの世界のうち、
最も遠い世界、それが君の故郷、日本だ。
万里もの道のりは、さながら空を旅しているようなものだろう。
ただ太陽の運行と風向きに任せて進んでいくほかはないだろう。
伝説にある大海亀は黒々と天にその姿を映し、巨大魚の目の光は真っ赤で、波を貫いていくことだろう。
君の故郷日本は、太陽の昇る所に生えているという神木(扶桑)のはるか外にあり、その孤島こそが、君の故郷なのだ。
私たちは、まったく離れた世界に別たれてしまうのだ。
もう連絡の取りようも無いのだろうか。
















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