幕末の儒学者、佐藤一齋が八十歳から八十二歳の間に書いた随筆「言志耋(てつ)録」の中に、「養老の法二十五則」というのがあります。
その第五。
「老人の自ら養うに四件有り。いわく和易(心がやわらいでいること)、いわく自然(何事も自然の成行きにまかせて焦らないこと)、いわく逍遥(境遇に安んじ、ゆったり楽しく暮らすこと)、いわく流動(ひとつのことに凝り固まらぬようにすること)是れなり。諸(もろもろ)激烈の事皆害有り。」
その第十二。
「心身は一なり。心を養うは澹(たん)泊にあり。身を養うもまたしかり。心を養うは寡欲にあり。身を養うもまたしかり。」
その第十九。
「清忙は養を成す。過閑は養にあらず」
続いて小島直記氏は書いています。「七十代はじめの松永耳庵の心構えと日常こそ、まさにこの境地に適うものではなかったか。」
なお、松永耳庵は「電力の鬼」といわれた松永安左衛門のことです。また、驚いたことに、耳庵九十歳の正月には次のような軟かい俳句を詠んでいます。
初夢や若き娘に抱きつけり
小島直記 「一燈を提げた男たち」新潮社
その第五。
「老人の自ら養うに四件有り。いわく和易(心がやわらいでいること)、いわく自然(何事も自然の成行きにまかせて焦らないこと)、いわく逍遥(境遇に安んじ、ゆったり楽しく暮らすこと)、いわく流動(ひとつのことに凝り固まらぬようにすること)是れなり。諸(もろもろ)激烈の事皆害有り。」
その第十二。
「心身は一なり。心を養うは澹(たん)泊にあり。身を養うもまたしかり。心を養うは寡欲にあり。身を養うもまたしかり。」
その第十九。
「清忙は養を成す。過閑は養にあらず」
続いて小島直記氏は書いています。「七十代はじめの松永耳庵の心構えと日常こそ、まさにこの境地に適うものではなかったか。」
なお、松永耳庵は「電力の鬼」といわれた松永安左衛門のことです。また、驚いたことに、耳庵九十歳の正月には次のような軟かい俳句を詠んでいます。
初夢や若き娘に抱きつけり
小島直記 「一燈を提げた男たち」新潮社