yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

ほととぎす

2014-10-17 05:27:53 | 文学
戦国時代末期に連歌がはやりました。 明智光秀なども嗜みました。 連歌師に里村紹巴(さとむらじょうは1525~1602)という人がいました。「耳嚢(みみぶくろ)」の中にほととぎすの句があります。

鳴かずんば殺してしまへほととぎす    信長
鳴かずとも鳴かせて聞かうほととぎす  秀吉
鳴かぬなら鳴くとき聞かうほととぎす   家康

このほかに紹巴が詠んだといわれるほととぎすの句があります。

鳴かぬなら鳴かぬもよしほととぎす   紹巴

ほととぎすは夏の到来を告げる鳥で、平安時代以来、その初音を聞くのは人々の楽しみでした。ほととぎすは鳴き声をめでるものと決められていますが、鳴かないならそれはそれでよいのではないかと紹巴はいいます。武将三人の句は紹巴の句の前置きでした。
「鳴かぬもよし」は「荘子」の「無用の用」に通じるものがあります。役に立つものが役に立ち、役に立たないものは役に立たないという常識的な価値観に対して、荘子は「無用の用」
というパラドクスを示しました。

紹巴の句にも文人の味わいがあります。

織田正吉 「笑いのこころ ユーモアのセンス」岩波書店
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