yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

文明の発展とリスク容認の折り合い

2011-04-19 06:48:20 | 文化
レベル7という高度に危険な福島原発事故が発生している現在、原発の存続の是非が議論されています。電力の利便性を享受している現代人に対して、環境問題と放射線の地球規模のリスクを冒してまで人類は文明の発展を求めていいのかという重い課題がつきつけられています。嘗てあった「日本の原発は安全」という主張は千年に一度という地震と津波の到来により一瞬にしてその根拠を失ってしまいました。これは利便性のみを追求してきた我々の強欲な生活様式に対する警鐘であるという見方もあります。生活に必須ではないのに、大電力を消費しているパチンコ店や乱立する自動販売機は電力使用を縮減すべきである、と言った石原都知事の指摘もあります。また、節電対策として「回転寿司は寿司の回転を止めて、人が回って寿司を取りに行けば良い」というビートたけしの笑えるアイデアもあります。しかし電力は産業の根幹
で、日本の経済を支える重要な要素です。従って計画停電や電力不足が長期的に続くと製造業は海外に移転せざるを得なくなり、国内の雇用が無くなり、失業者が増え、結果として日本が衰退する恐れがあります。
福島原発の事故は全世界が注目しており、ドイツは逸早く「原発推進」から「脱原発」に政策を転換しました。電力の8割を原発に頼っているフランスは、世論が反原発に向かうのを押さえ込むのに躍起になっているということです。しかし現実には福島原発が停止すると東電管内の夏場の電力需要に対応できないことが懸念されています。現在の供給能力5500万kWに対して不足分は約1000万kWと言うことです。
さてこれらのことを勘案して、私達電力使用者はどのように対応すればいいのでしょうか。
個人や家庭でできることは限られていますが、まず節電の習慣を身につけ節電ライフを習慣にすること。しかし、これだけでは到底不足であり、1000万kWに見合う効果は得られないことでしょう。
地域ぐるみの対策としては
1. 企業、工場、オフィス、公共施設、大学、学校など首都圏から移転可能な施設は、移転すること。
2. サマータイムの導入、これは既に欧米では実施しています。1日のライフサイクルを1時間早めることは、あまり費用をかけることなく実施可能な対策ではないかと思います。
一度手にした文明の利便性は容易に捨てることができないと思われますが、しかし国家的な規模で長期的な観点からは、原発依存から少しずつ脱却することも考慮しなくてはなりません。そこで自然エネルギーの利用をもっと進める必要があります。新築の住宅や公共施設には太陽光発電パネルの設置を義務付け、これに補助金を出して推進する必要があります。
本来なら、例えば東京都で使う電力は自地域でまかなうべきで、東京湾を埋め立てて原発を10基程度建設する位のことはしなくてはならないのかもしれません。そうすれば我々は福島県民の痛みが少しは身にしみてわかるでしょう。東京湾がだめなら、離島(八丈島や小笠原諸島など)に発電基地を建設して、電力ケーブルで電力を本島に送電することも考えられます。もちろん、これらの離島の住民の住居や職場は、たとえば首都圏に確保することが前提になります。
さて、エネルギー問題は単に首都圏だけの問題ではないので、日本全域を網羅している電力連係系統を利用して相互に電力を融通すること。更にはロシア、韓国、中国を巻き込んだ東アジア電力連係網を建設することも対策の一つとなります。
 未だに日本には福島の他にも多くの原発が存在していますから、これらの安全性を十分に高め、しかも原発にだけ依存する体質を改め、一日も速く代替エネルギーの導入を進めることが大切です。しかし当面は原発も必要とされますからそのリスクをよく認識した上で、それを容認する態度も必要なのではないでしょうか。
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