山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

箱根駅伝を観る

2011-01-04 01:28:54 | 宵宵妄話

  正月の楽しみの一つに箱根駅伝の観戦があります。観戦といっても現地に出向いてではなく、勿論TVの前での話です。冬のスポーツには、ラグビーやサッカーなどもあって、そのどれもが興味をそそるのですが、私的には、ボールなどの用具など一切なしで、只ひたすらに自分自身の身体を駆って走るだけの、そしてそれを団体でつないでゴールを目指すというこの競技に、一般陸上のリレーとは違った、独特の魅力を感ずるのです。先に年末の高校駅伝についても書きましたが、駅伝というのは、我が国独特の歴史的社会システムを織り込んだ走りのスポーツだと思うからです。

 様々な駅伝大会がありますが、その中でも最も歴史と伝統を感ずるのは何と言っても箱根駅伝だと思います。高校生の駅伝は距離が短く、実業団はそれなりに面白いものの、企業格差のようなものを感じてちょっぴり不満を覚えるのですが、この大学生による箱根駅伝は、2日間をかけての走る距離も長く、コースも街の中だけではなく、海の側から標高800mを超える高さの山地までという、日本の地形の要素をすべて含んだ、いかにも昔の飛脚の走りを思わせる、様々な条件を備えた興味津々のものとなっています。

 大学生の駅伝の中では、箱根駅伝は地方の大会に過ぎず、全国的なものではないという位置づけのようですが、面白さの実力としては、出雲の全日本大学選抜駅伝大会や熱田神宮から走る日本大学駅伝対抗選手権大会などよりは遙かに上を行っているように思います。他の駅伝大会が100kmを限度としているのに対して、箱根駅伝は、1日100km超であり、しかも2日を掛けて往復して走るというのですから、これはもう大変なことだと思うのです。10人のメンバーで、平均1人20km以上を走るというレースは他の駅伝にはなく、それだけにその時代の真面目な若者の人間模様のようなものが現れていて、実に興味深いのです。

 今年の大学の駅伝の世界では、三大大会の内の出雲と熱田の大会を早稲田大学が制し、箱根で三冠が達成できるのかが注目されていました。往路の走り出しから早稲田は好調で、箱根の山登りの5区までトップを走っていて、このまま行けば往路も早稲田の勝利かと思われていました。特に今年は昨年まで5区のスーパーランナーであった東洋大の柏原選手がずっと不調だったとかで、5区での引き継ぎの際は3分近い差がついており、東洋大が夢を再現するのは難しいのではないかというムードがあったようです。

 ところが、実際のレースでは、不調を託(かこ)っていた柏原選手が、俄然目覚めたように、恐るべきパワーを発揮して前を行く二人を抜き去って、東洋大に往路の優勝をもたらしたのでした。彼の走りには毎年興味津々ですが、イヤア、あの驚異的な力はどこから湧いて来るのか想像も出来ません。歴代この箱根の山登りには多くの名選手が走りに名を残していますが、この柏原選手は、これから先も忘れられない存在となるに違いありません。

 今日の復路は、最初の山下りの6区で、早稲田が首位を取り戻し、結局それを最後の10区のゴールまで保持して、見事総合優勝を果たしたのでしたが、3連覇を狙った東洋大の頑張りにも大いなる称賛のエールを送りたいと思います。また、3位に入った駒沢大学にも復活を思わせるものが感ぜられ、来年に期待を抱かせるものがありました。

 これで早稲田は18年ぶりの優勝と併せて3大大会を制して文字通り大学のチャンピオンとなったわけですが、そのようなことはこのTVを観ていて、アナウンサーや解説者の話を聞くまでは全く知りませんでした。特に箱根駅伝では18年ぶりというのは意外でした。18年前の優勝の時の殊勲者の一人が現監督の渡辺氏であるという話を聞き、そうか、あの時以来なのかと、今更ながらに時間の経つのが早いことに驚かされたのでした。18年前の渡辺選手は圧倒的な走りを見せたスーパースターの感じの方でした。彼は私の倅(二男)と同じ中学校の出身で、2年生の時に転校で福岡からやってきた倅が、化け物のように速い奴がいると話していたのを思い出します。倅はプールの中でなら彼よりも早く泳いだのでしょうが、その年は千葉市は水飢饉でプールが使えず、見せ場のなかった倅がかなりヘソを曲げたのを、ついでに思い起こします。もう20年以上も前の話です。胴上げされる監督の姿を観ながら、改めて時代が過ぎてゆくその速さを思ったのでした。

 駅伝の放映の中で耳にすることばに、選手たちのケガの話が多く出てきます。ケガに悩まされ、4年目にしてようやく選手として走ることが出来た人、その反対に良い記録や実績を持っているのに、ケガのために走れない人、等々、スポーツにケガは付きものとはいえ、各校とも選手の健康管理にもっと力を入れてはもらえないものかと、ちょっぴり不安を感じました。恐らく長距離走のケガといえば、走り過ぎ、身体の使い過ぎに起因することが多いのでしょうから、練習におけるその見極めは、相当に難しいのだとは思いますが、精神論ばかりで練習をすることなどが無い様、指導者の方は個々人の体力と能力の限界を冷静に判断して、若者を鍛えて欲しいなと思いました。北海道の旅では、各地で夏季の合宿で走りに来ている学生や実業団の人たちを見かけます。又温泉で一緒になることも時々あります。彼ら若者が一途に走りに打ち込む姿を見るのはとても力強く又嬉しく感じます。ケガなどで彼らの夢が挫折することはあって欲しくないという思いが強いのです。

 走ることを止めてからもう20年近くになりました。今はもう、横断歩道でさえも走ろうなどとは思いません。走れないことを良く知っているからです。その分だけ若者が走るのを見るのが楽しみとなりつつあります。箱根駅伝は、その中の最高峰です。ここで人生のあり方の何かに気づいた若者が、その後大きく成長してくれることを願わずにはいられません。駅伝の世界には、選手も選手になれなかった人たちにも、人生の大きなプレゼントがもたらされるように思えるのです。2日間に亘る良い観戦の時間でした。

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