山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

現状維持は退歩(なでしこジャパンはなぜ負けた)

2016-03-08 04:58:28 | 宵宵妄話

 大いなる期待を以てなでしこジャパンを応援していた。リオオリンピック出場を賭けたアジア予選への、日本人の注目度は大きかった。勝負事は全て何でもやってみなければわからないのだが、過去の実績を見る限りでは、苦戦はあるとしてもまさか世界で4位にランクされ、アジアでは最上位のチームが予選落ちをするような途を辿るとは、多くの人は想像していなかったと思う。

 しかし、結果は周知のとおりである。その抜本的な原因はタイトルに掲げた「現状維持は退歩」にあるように思う。過去のなでしこジャパンは、試合を見るごとにチームが成長してゆくのを実感できた。何時も同じメンバーが同じようなことをして得点するのではなく、メンバー個々人の動きの中から予想を越えた点の取り方が随時・随所で起こっていたように思う。それを見る度に感動した。恐らく選手各人たちも同じように感動を味わったのではないか。それはとりもなおさず彼女たちが自分たちの成長を確認した瞬間の喜びだったのだと思う。

 しかし、今回のチームは、その戦いぶりを見ていると、どうやらその成長が止まってしまったようである。止まってしまったというよりも終わってしまったという感じが強い。選手個々人は過去以上に厳しい修練を積んで来ていて、技術も体力も向上しているに違いないのに、なぜこのような結果となっているのか。

メンバーの顔触れが殆ど変わらないので、加齢による体力ダウンなどという問題が懸念されとしたら、それは見当違いの指摘であろう。僅か4~5年ほどの時間経過で、チームという集団が老化するなどということは起こる筈がない。それなのに結果を出せないというのは、チームのマネージをする監督を含めて、選手全体が構成するチームとしての成長が止まってしまったからに違いない。そのように思えてならない。

チームという組織で結果を競う競技は、すべてその基本となるのは組織を構成するメンバーの力(体力・技術力・思考力・精神力など)だが、結果を出すにはそれらの力を「一つに合致させる」ことが必要である。しかし、これは超困難なテーマである。この「合致」には様々な要素が複雑に絡むからである。それを実現させるのがチーム力であり、その力の大きさがチームを成長させて行くのだと思う。つまり、チームの成長とチーム力は一体のものであるといえる。今までのなでしこジャパンは、長い時間をかけながらそれを実現させることができたのだと思う。

しかし、チーム力の維持には限界がある。チームを構成するメンバーの力は常に変化し、それに伴って「合致」の在り方が変化してゆくからである。今のなでしこジャパンは、どうやらその時を迎えてしまったようだ。選手個々人のパワーは向上しているとしても、それらを合致させるものが不揃いなのであろう。どんな名監督でもこれをマネージすることは困難なのかもしれない。

「現状維持は退歩」という捉え方がある。「現状維持」というのは、成功や安定という発想の枠組みを変えないことを言うのだと思う。つまりは過去の成功体験を良しとして、それをもたらした発想を捨てきれないということである。これは人間という生き物の根源的な生き方に係わる習いのようだ。あらゆる歴史は、この繰り返しによってつくられているような気がする。そして、大げさにいえば、人間の喜怒哀楽は、すべてそこから発生しているような気がするのである。

これを打破するのは、危険の有無に係わりない、新しい発想とその実現しかない。すなわち「破壊と創造」しかない。国家という社会も企業という組織も、チームというゲーム組織も家庭という小さな組織も、現状維持が限界に達した時は、破壊と創造という新しい発想を実現させるしかない。これが組織生命体の宿命である。自分はそう思っている。

もはや今までのなでしこジャパンは、解体の運命にある。しかし、この何年間での輝かしい功績・成果は永遠に賞賛されるに違いない。それで良しとしなければならない。このことは、既になでしこジャパンに係わった全ての人たちが、様々な形で理解しているのではないか。応援してきた側も理解しなければならないと思う。そして、新しいなでしこが育つことを祈念、期待したいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする