山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

糖質制限ダイエットに思う

2016-02-19 00:06:01 | 宵宵妄話

 この頃は思うことが多いですね。ま、思わなくなったらお終いが近づいたということになるのでしょうが‥‥。

 先日糖質制限ダイエットとかいう、その推進に係わる第一人者の方が突然死されたということで、ひとしきり話題となっています。亡くなられた方には、只、ただご冥福をお祈りするのみですが、この突然死を巡って、その原因がご本人の推奨されていたダイエット方法そのものに係わっているとしたら、やはり要注意ということになるのではないかと思います。

 この方(桐山さん)が糖尿病になられたという経緯やその後真剣にダイエットに取り組まれ、確信を持てるような成果を上げられたということについては、私自身の体験に極めてよく似ているように思います。それで、もし糖尿病で今回の事件に対して心配を持たれている方がおられるとしたら、参考までに自分の取り組みと考えにつて披歴しておきたいと思った次第です。

 先日のTV朝日の報道では、彼が糖尿病の宣告を受けるまでの経緯は自分と酷似しており、その内容といえば、長期間にわたり忙しさにかまけて、食事のことには気に掛けず、いわゆる暴飲暴食の上に運動不足の暮らしを続けていたということ。その結果、ある日突然原因不明の体調不良に陥り、いろいろな検査の後に判ったのは、異常な高血糖値状態にあり、これが原因であるとして、糖尿病を宣告されたということです。

 私の場合も全くと言っていいほど同じ状況で、50歳半ばを前にして糖尿病を宣告されたのでした。その後、2週間ほど家内と一緒に専門医に通い、糖尿病治療に関する三つの療法等の知識を学びました。すなわち、①食事療法②運動療法③医薬療法の三つです。この中で最重要と受け止め取り組んだのが①の食事療法でした。この時の私の体重は80kgもあり、明らかに太り過ぎであり、ダイエットが必要なことは一目瞭然のことでした。

桐山さんの場合も90kg以上の体重があり、それで糖質制限ダイエットに出会って実践に取り組まれたのだと思います。彼の場合は超短期間で20kgほどの減量に成功され、そこからこのダイエット法の推進者となられたようなのですが、私の場合は、少し違ったプロセスを辿りました。半年ほどかけて10kgほどの減量に成功したのですが、同じ食事療法でも糖質制限が旗印ではなく、専門医の指導のもとに食品分類に基づくバランスを取りながらのカロリーコントロールの食事でした。

これは80kcalを一単位として、一日の摂取カロリーを20単位(=1600kcal)とか15単位(=1200kcal)とかいう指標を決めて食事に取り組むもので、当初はそれを覚えるのに苦労しました。なにしろ食品分類は6区分もあって、それらをバランスよく摂取する必要があるのです。家内と一緒に2週間ほど専門医に通って指導を受けました。この療法では、調理をする人が重要な役割を担うことになり、調理能力のプアーな男性の患者本人だけでは対処できない難しさがあります。又カロリー計算には何をどれだけ食べればよいかという基本命題があり、当初は徹底するために携帯用の秤まで買い入れて、食べ物を計量しながらの取り組みでした。

当初は目標を15単位としての取り組みでしたが、半年ほどして10kgほどの減量に成功したので、それ以上無理をするのを止め、20単位に切り替えました。その結果68kg前後の体重を維持しながら60歳台を乗り切ることができました。この間、毎日の歩きを中心とする運動と、ほんの少し医薬の力を借りてHa1c(ヘモグロビンエー・ワン・シ―)のデータレベルを概ね6%前半以内に保つことが出来ています。

その後住居の移転に伴う専門医の変更などを余儀なくされ、一時は油断連続の暮らしに陥って、データが悪化することもあったのですが、65歳を過ぎた頃から再び信頼できる専門医に出会うことができ、70歳を過ぎた頃から体重を60kgほどに落として、薬無しの食事と運動を柱とする暮らしぶりで、何とか健康レベルを保持している状況です。しかし、最近はややアル中(?)の傾向があるのか、データが悪化する傾向にあり、これを何とかしなければならないと、楽しみながらその改善に取り組んでいるところです。

糖尿病というのは不治の病であり、一度取りつかれたらもう決して逃れられる病ではないのです。しかし、この病がありがたいのは、しっかり食事や運動の対処法を実践さえしていれば、健康レベルを維持できるという性格のものだということです。ほんの少しでも油断して食べ過ぎたり、運動をさぼっていたりすると、たちどころにHa1cのレベルが上昇してしまい、健康レベルではなくなってしまうのです。ですから、糖尿病とは生涯仲良く付き合うことを覚悟する必要があるのです。険悪な関係になってしまうと、たちまち様々な合併症を引き起こし、生命の危険にさらされることになってしまうのです。この危険はゆるりとやってくるように考えがちですが、残りの時間が気になり出す世代では、すぐさま取りついてくると考えた方がベターだと思います。

糖尿病を宣告された人は、基本的な対応として、定期的な専門医のチエックをうけることと、そのデータを確認しながらの摂取カロリーのコントロール、そして適当な運動が不可欠なのです。薬を飲んでデータが改善されれば病が治ったというわけではなく、ましてやサプリメントのようなものを飲んでいるから大丈夫だなどということは、決してありえないと自分は思っています。

今回の桐山さんのケースが、果たして本当に糖質制限ダイエットによるものなのかどうかは、今後の専門家の判断を待つしかありませんが、一つ気になるのは、食事というのは偏向(片寄る)してはいけないのではないでしょうか。米やパンやうどん・そばを一切食べない、避けるといった食事の在り方は、確かにダイエットには有効だとしても、どこかに副作用(例えば米やパンやうどん・そばが持っている大切な栄養素を置き去りにしてしまうことからもたらされる弊害)を生み出しているように思えるのです。何事も極端過ぎるのは不調和の源となるように思います。やはり人が健康に生きるためには、何事においてもバランスが不可欠なのだと思います。

そもそも糖尿病に取りつかれた原因といえば、過食や運動不足というバランスを失った暮らしぶりにあるわけですから、ダイエットを指向するなら、その基本はバランスや調和といったコンセプトが、最重要ではないかと思うのです。もしかしたら、桐山さんの失敗は、このバランスを失ったことにあるのかもしれません。現在も熱心に糖質制限ダイエットなるものに取り組まれておられる方がいるとしたら、バランスを失う取り組みの怖さを見直し、極端に走らない喫食を心がけて欲しいと願います。

人が健康に生きるためには、極端であってもいけないし、いい加減であってもいけないし、真に難しいものだと、改めて思うこの頃です。PPK(=ピン・ピン・コロリ)と逝くためには、健康であることが必須条件だと考えているのですが、PPKは、やり残しの少ない、後悔の無い終わり方を理想としており、桐山さんの場合は、まだまだこれからだという課題やテーマも多かったのではないかと思われ、PPKには該当しない突然死のように思うのです。ま、このようなことをはじめ、あれこれ思うことの多いこの頃です。

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