無機的なものではなく、有機的なもの、生きているもの、特に身体があり顔がある動物や人間の存在は、より強く私たちの身体を変化させます。だれか人が私たちのそばにいる場合、私たちの身体は誰も人がいない時とは明らかに違う反応をしています。
よく知っている人の存在の影響はさらに強い。自律神経系などは、嫌いな人が近寄ってくれば緊張するし、親しい人と一緒にいるときは緊張がほぐれます。テレビを見ていても嫌いなアナウンサーやタレントがしゃべっているときはリラックスできない。好きな俳優の顔が出ると気分がよくなります。人のことを想像するだけでも違う。人が生きている場合と死んでしまった場合とではその人を思う時の私たちの身体の状態が違います。その物事が存在するということは、そういう私たちの身体の状態のことである、と(拙稿の見解によれば)言えます。