科学が描く世界像によれば、物質現象を表現する微視的な(正確にいえば量子的確率分布の)状態は隣接直近過去の状態(物理学では境界条件という)によって必然的に決まることになります。そのような物質変化が連鎖し蓄積することですべての物事は推移していく。私たちの目に見える日常的な現象について例をあげれば、カエルの子は必ずカエルになる、つまりDNA分子が物理化学的法則にしたがって生物体を組織するから生物ができあがるのだ、という現代生物学の原理がその典型です。別の例をあげれば、犯人の頭蓋骨の内部にある一群の脳神経細胞に電位変化が起こったから指収縮筋の運動神経が活性化した結果、ピストルの引き金が引かれて殺人が起こったのだ、という見方を導く考え方です。その神経細胞の電位変化はその数ミリ秒前の周辺の連結神経細胞の電位変化を原因とする結果であり、そのまた原因はそのまた数ミリ秒前の神経細胞ネットワークの連結状態からの必然的な結果である、等々となる。犯人の犯意などいうものが表現される必要はない、となります(拙稿10章「欲望はなぜあるのか?」)。
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