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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

メタファーとは何か?

2010年01月17日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

Gerome_liononacliff

そうだとすれば、ライオンを観察している人が「ライオンがシマウマを襲う」という意味のことを日本語あるいはケニヤ語で言う場合、それは事実を言っているのではなく、「ライオンがシマウマを襲うがごとく追跡しているように見える」という擬人化を使った比喩を言っている、ということになる。

しかしここで問題なのは、このような隠喩話法を使う場合、比喩を言っている場合も、直接の事実を言っている場合も、言葉としては同じ、ということです。「ライオンがシマウマを襲う」と言う人が、自分は実は「ライオンがシマウマを襲うがごとく追跡しているように見える」という比喩を言っているのだ、と自覚しているでしょうか?ふつう、していませんね。ただ単に、ライオンがシマウマを襲っているから「ライオンがシマウマを襲う」と言っているのだ、と思っているでしょう。

この点を、拙稿としては問題にしたい。比喩(メタファー)とは何か?つまり、たとえ比喩を語る場面であっても、話し手はいつのまにか事実を語っているつもりになっているし、聞き手もまた事実を聞いているという気になっている。これは、どういうことなのか、という問題です。

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自動的運動シークエンス

2010年01月16日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

ライオンは、逃げるシマウマを追って走るという運動を実行することで、脳神経機構のシミュレーション読み出しシステムから自動的に引き出されてくる運動シミュレーションに沿って、無意識に運動を展開しているだけです。

ライオンの自動的な運動シークエンスは、次のように構成されているはずです。

シマウマを追う→シマウマの尻が目前に見えるまで追いつく→思いっきり飛びつく→背中に飛び乗る→頚動脈を噛み切る→倒れたシマウマを食べる。

ライオンの内部の神経機構では、矢印の直前に記述されている運動が矢印の直後に記述されている運動を自動的に引き起こすような連鎖メカニズムになっている。ライオンの身体は、矢印の方向へ自動的に運動シークエンスが進み、無意識のうちに身体が動いていくような機械的機構になっている。それだけでしょう。

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ライオンは人間のようなのか?

2010年01月15日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

Gerome_tigerpeltmerchantofcairo

実際、ライオンはシマウマの持っている大事なものを奪うという社会的な目的を持って行動しているのか? 「大事なものを奪う」というような抽象的な目的概念を持っているのか? まじめに考えれば、ライオンがそんな人間のような考えを持っているはずがないことは明らかですね。では、ライオンは何を考えて行動しているのか?

シマウマを追っているライオンの内部で何が起こっているか推測してみましょう。シマウマの背中に飛び乗るという運動シミュレーションは活性化されているに違いないと思えますね。一方、「シマウマの持っている大事なものを奪いたい」とか、あるいは「シマウマの生命をこの世から抹殺したい」という考えがライオンの内部にあるでしょうか? 幼稚園児はそう思うかもしれない。しかし、動物をよく知っている大人は、ライオンの内部にそういう考えがあるはずがないことをよく知っています。

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拝読ブログ:動物化するポストモダン

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ライオンとシマウマの社会的関係

2010年01月14日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

動物の場合はどうか? 人間以外の動物は、まず社会的状況をそれほど精緻に認知しない。人間のように複雑な社会を持つ動物はいない。それで抽象的な目的認知機構は必要としません。逆に言えば、人間は抽象的な目的概念を作り、それを認知する目的認知機構を身体に備えているから、(拙稿の見解では)このような複雑な社会を維持していられる。       

人間はそうして、人と人の間の社会的関係に変化をもたらすことを目的として行動している。しかしたとえば、シマウマの尻を追いかけているケニヤのライオンはシマウマとの社会的関係に何らかの変化をもたらそうとして行動しているのか?

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人類特有の目的認知機構

2010年01月13日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

Gerome_tigeronthewatch

社会的集団生活をする群棲動物は、社会的な状況(たとえば、仲間に好かれるとか、疎んじられるとか)を認知し、その状況を予測して、有利な行動を選択する能力を持つ必要があります。犬などを見ると、そういう能力が十分ありそうに見えますね。人間もそうでしょう。私たちは、仲間の中での自分をめぐる社会的状況の変化を予測し、求めるべき状況を目的として複雑な行動を組み立てる機能を持っている。人間の場合、この機能に利用されている機構が、(拙稿の見解では)人類特有の抽象的な目的認知機構です。

社会的状況を抽象的な目的概念として認知する。たとえば、仲間にどう思われるか、というところから目的概念が作られる。言語表現にすれば、「仲間に好かれたい」、「仲間に疎んじられたくない」「クールだと思われたい」「負け犬と思われたくない」などとなるでしょう。こういう社会的状況を予測し、それを実現する目的として行動を組み立てる。人間の場合、このような状況―行動の結果予測に、目的認知機構は使われます。

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