群棲動物の個体が群れからはぐれた場合、あわてて群れに戻ろうとするような行動をとることが観察される。進化心理学の多くの理論では、群れからはぐれている個体はその状況を認知して不安を感じることで捕食者に襲われる危険を回避するような行動が進化した、としている。ここから霊長類において仲間集団への復元力を担保する機構として孤独感覚が進化したという理論ができている。
拙稿の見解によれば、存在の謎を感知する現生人類では、孤独感は単に集団への復元機構を働かせるだけでなく、現実世界への違和感を生じさせることで自我意識を確立する作用を持っている。たとえば、人は自分の死を認知することで社会に対応する自我概念を維持しているといえます(拙稿22章「私にはなぜ私の人生があるのか?」、拙稿15章「私はなぜ死ぬのか?」)。孤独感からくる不安と違和感を伴う苦痛は、このように自意識を確立する作用によって人類の緻密な社会を構成し維持する機能を担っている、と考えることができます。
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