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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

内的意図という虚構

2008年08月02日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

擬人化(と拙稿が呼ぶ、私たちの脳神経系の)プロセスは、観察対象の動きを仲間の動きに共鳴する運動形成回路の活動として捉え、(そこで擬人化された)対象の動きに共鳴して自分の運動形成機構が自動的になぞる仮想運動を引き起こし、さらにその仮想運動に連動して引き起こされる自分の感情発生プロセスからフィードバックされる体性感覚を観察対象の内的意図として認知し、(擬人化された)それが何をしようとしているかを読み取ることで、物事の次の変化を予測する。

たとえば、P君が山道を歩いているとします。夏なのでセミが鳴いている。すぐ近くで聞こえるので、よく見るとそばの幹にミンミンゼミが止まって懸命に鳴いている。立ち止まってじっと見る。逃げないのかな、と思う。セミは急に鳴きやみました。P君は自分がセミの仲間になったように、歌をやめて敵の気配に耳を澄ましている気持ちになる。息を止め、足の筋肉を緊張させます。P君がセミならば、これで、すぐジャンプして飛行体勢に入れる。セミの敵であるP君はセミに気づかれないようにそっと手を伸ばす。一方、セミの気持ちになっているP君は、「わ、やっぱり敵だ!俺を捕まえに来た。やだ!逃げちゃおう。ついでにおしっこをひっかけちゃおう」と思い自律神経系が興奮して自分の心臓がどきどきし始めます。自分の身体のその緊張感で、P君はセミの緊張と逃亡の意欲を感じ取り、セミがいまにも飛んで逃げるだろうと予測する。このとき、P君は、飛んで逃げよう、というセミの気持ちになっている。次の瞬間、案のじょう、セミはおしっこをしながら飛んで逃げます。

拝読サイト:ミンミンゼミ

拝読サイト:穴の世界は深遠

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ロケットのアドレナリン

2008年07月31日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

目の前で動くものが、仲間の人間の場合も、動物の場合も、無生物の場合も、私たちがその動きを認知する場合、(拙稿の見解では)擬人化によって、同じ仕組みが使われる。つまり、私たちが物事の動きを認知する場合、注目する物事XXの内部に○○をしようという欲望、意志、意図が湧き起こり、それが原因となって身体が動いて○○という行動が起こる、と感じる。○○という動きの存在感は、そのときの自分の(感情運動など)身体反応で表現される。逆に言えば、物事の変化を見て、それがこの体内プロセスで捉えられるとき、私たちはその物事を意識的に認知する。

ロケットが、怒り狂って、天に昇る。打ち上げを目撃してそう感じる原始人は、そのとき(拙稿の見解では)ロケットに乗り移って、ロケットになった自分の身体を駆動して空中を駆け上がる。そういう仮想運動を脳内で形成する。その仮想運動の信号は、アドレナリンを分泌して、彼または彼女の心拍数を上げ、両脚の伸筋を緊張させる。その(内臓感覚、筋肉感覚など)体性感覚が脳にフィードバックして、怒りの感情を引き起こす。その感情をロケットの行動の原因と捉える(擬人化)神経機構の働きで、原始人は「ロケットが、その内面で怒りの感情を発生させ、それが原因となって天に昇るという行動を起こしている」と思い、「XXが○○をする」という言語表現を使って「ロケットが天に昇る」と言う。

拝読サイト:イギリスの研究者が開発した感情を持つロボット

拝読サイト:天まで届け、竹筒ロケット

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筋肉の緊張感→述語

2008年07月30日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

Chasseriau_bath_harem

人類の脳の場合、(拙稿の見解では)体性感覚で感じるこの仲間の運動の存在感を、目に見えるその人体の外面的イメージと統合して、その人体が内面に内蔵する駆動力としての欲望、意志、意図として捉える上位の認知機構が作られている。たとえば、テレビでシュートを見るとき、自分の筋肉が緊張してしまう体内感覚から選手がゴールを狙う気持ちが分る。このように、私たちの脳内では、仲間の動作の内面的要因が、自分の体内の体性感覚フィードバックとして表現されている。

私たちは、視覚聴覚で感知した仲間(たとえば、テレビに映る選手の映像など)の行動を、仮想運動シミュレーションによって捉え、その仮想運動が自分の体性感覚にフィードバックしてくる信号(たとえば、筋肉の緊張感)をその仲間の体内にある意志、欲望と捉えて、それをその行動(たとえば、シュート)の原因として感じ取る。因果関係を認知するそのシミュレーションの表現形式は、「仲間のXX(たとえば、テレビに映る選手の名前)の内部にある意志、欲望を原因として○○という行動(たとえば、シュートなど)が起こった」という図式になる。脳神経機構における因果関係のこの表現が、XXを主語、○○を述語とするセンテンス「XXが○○をする」という言語表現の基盤になっている。

拝読サイト:46-47・プレミアリーグ初制覇!!の5月

拝読サイト:決勝戦 3Q

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存在の発生機構

2008年07月29日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

私たちが物事の動きに注目するとき、脳において、その動きの擬人化シミュレーションを実行する神経機構は、(拙稿の見解では)自分の運動形成機構から感情機構へ循環的に伝わる信号をモニターする上位の認知機構から進化したものと考えられます。

群棲哺乳類では、(拙稿の見解では)仲間の動作を感知すると、自分が運動する場合に使う運動形成機構が共鳴して追従運動が起こる。人類では、実際に身体を動かさない場合が多いが、その場合は、脳内だけで信号が循環する仮想運動が起こる。この運動形成の信号は感情機構に送られて、脳幹、自律神経系の興奮や筋肉の微弱な緊張など感情運動(心拍や血管壁、内臓平滑筋や骨格筋の緊張など)を起こし、それが(内臓感覚、筋肉感覚、皮膚感覚など)体性感覚にフィードバックされて、仲間の動作の存在感を発生する。

拝読サイト:くすぐったい

拝読サイト:フィードバック とは ?

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人体を駆動するモノ

2008年07月28日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

Chasseriau_banquo

ちなみに、私たち人間の行動も(拙稿の見解では)、ロケットの軌道制御システムと原理はあまり違わない脳の身体運動制御システムの働きによる物質現象です。ところが、外面から人体の運動を目で見たり耳で聞いたりする私たちは、その人体の内面に、人体を駆動する精神的な意志、意図、あるいは欲望というものがあるように感じる。人間の意志、意図、欲望というものは(拙稿の見解では)、物質としての実体がなく、そういうものがあるように感じられるというところにしか根拠がない。そうであるとすれば、人間の欲望と、ロケットが天に昇りたいと思う欲望とは、本質的な違いがない。つまり、どちらも、実体がない錯覚による仮想の駆動力です。

ロケットや人間の運動を見るとき、その内部に欲望のような駆動力があるかのように感じ取るように、人類の認知機構は進化してきた。私たちが自分や他人の内部に認める意志、意図、あるいは欲望というものは、進化によって設計された、錯覚であるにもかかわらず便利で実用的な仮想の装置である、といえる(拙稿第10章「欲望はなぜあるのか?」)。

拝読サイト:「ある・なし」にこだわると矛盾につまずくよ

拝読サイト:見たような、見なかったような。わたしの幽霊たち

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