ニュートンは、物体の運動を予測するとき、それを見てそれに追従しようとする自分の身体の無意識な働きを無視した。自分の身体が答えてくれる直感の予測を受け取らずに、紙に数式を書いて計算した。計算で運動を予測するために、天才は、微分積分を考案し、さらに微分方程式を考案して、物体の運動を計算した。ニュートンの運動の法則と呼ばれる微分方程式(運動方程式)を境界条件に沿ってどんどん積分していくと、世界のすべての物体の変化が予測できる。このとき、初めて人類は、言葉による比喩を使わずに(数学を使って)世界を正確に語り合う方法を手に入れたといえる。現代物理学の相対性力学や量子力学の方程式でもまったく同じ数学構造を(拡張して)使う。こうして、現代科学は擬人化を使わずに、物事を予測できるようになった。
現代科学は、(古代科学や偽科学と違って)物質の中に感情や神秘的な要素を見ることはない。アニミズムは完全に否定される。この思想を敷衍すれば、動物の中にも、さらには人間の中にも(宇宙のどこにも)神秘的あるいは精神的なものはないことになる(拙稿7章「命はなぜあるのか?」、拙稿8章「心はなぜあるのか?」)。
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