「今日は暑いですね」というとき、その言葉と話し手の脳の神経回路が発生している電気信号との対応はどう考えればよいのか? それは、屋外のかんかん照りの路上で立ち話するときでも、屋内のエアコンで涼しい部屋に座って会話するときとでも、同じ意味になっているはずです。でも、かんかん照りで汗だくになっているときの私たちの脳の状態と、「暑い」という言葉とは関係がある。
皆が「暑い、暑い」といいながら、汗をだらだら流して、服をはだけてウチワを使っている。もちろん、自分も暑い。そういうとき、暑さを少しでも和らげたい、という気持ちが、皆の間で共有されている、と感じる。袖をまくりあげて自分を扇いでいる人を見ると、無意識に同じ事をしてしまう。暑さを和らげようとする運動が共鳴している、といえる。これは人間集団の中で起こる運動共鳴です。皆が暑いときの運動共鳴が、脳内で身体運動‐感覚受容シミュレーションを形成している。このシミュレーションは記憶され、(拙稿の見解では)「暑い」という言葉で、それが想起される。そういう仕組みで、言語は作られている。
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