goo blog サービス終了のお知らせ 

哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

拡張されていく言語

2008年11月10日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

人間の相互理解は、(拙稿の見解によれば)目の前の物質現象に関する運動共鳴から始まる。物質を扱う互いの身体運動に対する共鳴から物質の認識が共有される。その共鳴の共有を土台にして、言語が発生する。いったん、言語が獲得されれば、人間は、言語を使うことによって、目の前にはない遠方の物質現象、過去の事象、集団感情などをしっかりと共有できるようになる。

さらに、言語が扱う対象は拡張されて、感覚、感情、信念、欲望などを個人に帰属するものとして認知する機能が追加される。文字の時代になると、言語は、宗教、哲学など抽象的な観念を語る機能を獲得してくる。近代に至り、言語は科学、論理、法律などを明確に表現する能力を確立し、社会を維持するインフラ構造となっている。

拝読ブログ:クラウド化する世界

拝読ブログ:見えない宇宙

コメント

テレパシーの実用化

2008年11月09日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

Rembrandt_musicpa

軽くて薄いヘルメットのような神経活動測定装置をかぶることで、テレパシーができる未来技術。頭の中で考えている言葉がパソコン画面の文字に表れる。心に浮かんだメロディーがパソコンのスピーカーから流れる。あるいは、冷蔵庫からビールを持ってくる自分を思い浮かべると、家事ロボットがビールを持ってきてくれる。そんな話は、かつてはマンガの世界でした。最近の科学の現状では、もうマンガではなさそうです。研究室で、その程度の技術は実験されています。コストが高くても買ってくれるマーケットがあれば、近い将来実用化されるでしょう。

その先の時代には、言語に代わって、あるいは言語を大きく包含して、人間と人間との脳神経系の共鳴現象を表現するシステムの実現が予想されます。そうなると、相対的に、言語の重要性は薄れてくる。言語の地位は、言語発展以前の原始時代のようなところへ戻っていくでしょう。そういう時代になるとすれば、言語技術者の特権も危うくなってくるかもしれませんね。

拝読ブログ:テレパシー

拝読ブログ:*’ー’リ<もお~いっつもお洋服ぬぎっぱなしなんだから!これ洗っとくよ? そんなロボット

コメント

神経活動の視覚化

2008年11月08日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

言語を含めた人類の相互理解の手段と様式は、世代交代を重ね、歴史的に変化してきている。特に近代以降、言語を利用する相互理解の様式が、言語自体の変化より、ずっと速い速度で変化する。

文字の普及、印刷の普及、宗教、儀式、学校、出版、新聞、電話、ラジオ、テレビ、パソコン、インターネット、携帯電話・・・。こういう相互理解の手段と様式の出現によって、人間の言語は信頼され、権威付けられる。信頼できる言語によって表現されることで、世界の物事は、しっかりした存在感と現実感を与えられる。人間どうしは、その現実を共有することで、さらに相互理解を広げることができる。現代の産業の発展と技術革新によって、近い将来、相互理解の手段と様式はさらに発展していくでしょう。たとえば脳内の神経活動を視覚化する装置の高性能化、などによって、人間の相互理解は大きく改善されていく可能性があります。

拝読ブログ:相互理解ってもの

拝読ブログ:『脳内イメージと映像』

コメント

科学を作り直す

2008年11月07日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

Rembrandt_minerva

次の時代には、拙稿のいう運動共鳴など、人間の集団における脳神経活動の相互干渉あるいは共鳴現象の科学というべきものが、出現してくるでしょう。現在、コミュニケーション論など社会学的手法で研究されている領域とも重なってくるでしょうが、次世代には、まず、むしろ純粋な自然科学として展開されるでしょう。ミクロからマクロのレベルまで、物質現象として徹底的に追求されるべき課題だからです。

人間の社会行動などを含むこのような研究課題を、自然科学から始めようとすると、すぐに新しい理論を作る必要に突き当たる。現在の科学を超える新しい理論が作られるために、従来の自然科学はもちろん、社会科学も、そして哲学も、協力していくことになる。

その新しいものが、どのような形をとるのか、筆者にはまったく分かりません。ただ、それは、新しく、哲学の科学を作り、同時に、現在の科学を根本的に作りなおす可能性がありそうです。それがさらに、言語を含めた人間の表現力をさらに深め、人間どうしの不完全な相互理解を大きく改善することになるかもしれません。もしそうであれば、次の時代、人類は、自分たち自身の、より深い理解に到達することになるわけです。

拝読ブログ:博士号取得者の生き残り方

拝読ブログ:科学技術ジャーナリストになりたい理由

コメント

錯覚の物質構造

2008年11月06日 | x8私はなぜ言葉が分かるのか

このような錯覚が人間の行動に影響をおよぼす仕組みは、どのような物質構造に支えられているのか? 現代科学は、ようやく、それを探求するための道具をそろえ始めている。生物科学、特に脳神経科学や認知科学などにおいて開発されてきた最新技法は、脳内の身体運動‐感覚受容シミュレーション(拙稿では便宜的にこう呼んでいるが、萌芽的概念なので科学者の間で用語法は確定していない。伝統哲学でいう観念、イメージ、あるいは心理学でいう条件反射や手続き記憶などの概念に部分的に重複する)などの神経活動を、物質現象として、測定記録する方向に発展してくるでしょう。

それぞれの錯覚に伴って、どのような身体運動や生理現象が動いているのか? それは視覚、聴覚、体性感覚でどう感知されて、受け手の脳内の仮想運動に変換されていくのか? 生活の中で錯覚に伴う運動および仮想運動が、人間どうし、どう共鳴し、伝播し、どのようにして言葉になっていくのか? これらの現象をミクロな細胞や神経回路網のレベルで解明するまでには、まだまだ(今後数十年は)、科学者の努力が必要でしょう。それと並行して、(拙稿の楽観的な予想によれば)マクロな身体運動レベルでの人間行動の分析方法が発展してくるはずです。 

拝読ブログ:ジャッケンドフ「意図と意志的動作」を訳読してみよう (1)§8.1

拝読ブログ:進む人工的世界と人類の未来

コメント