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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

現実なるものを演出

2009年05月08日 | x9私はここにいる

Moreau_ganymede

同時にこの仮想運動は、第3A層以下の下位の層に、注目する物事の存在感を発生させる。この存在感に反応して下の層は、自律運動に加えて(加速減速など)付加的な運動を実行する。これが意識的運動を引き起こす。つまり、第3B層は身体内外から来るインプット情報から適当な現実を選択してそれを仮想運動で表現することで、身体全体をその現実に反応させて作動させる。

センセーショナルな言い方をすれば、この第3B層の神経回路は現実なるものを演出して私たちの身体をだます役割を果たしている、といえる。第3B層がこのように働くとき、(拙稿の見解では)私たちは自分が意識的に行動している、と自覚する。

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現実感と意識感覚の発生

2009年05月07日 | x9私はここにいる

最上位の運動制御回路である(拙稿の命名によれば)第3B層は、(拙稿の見解では)五感のほかに神経系の各回路や血液成分によって伝達される身体内外から来るインプット情報を最大限に受信して利用する。それら膨大なインプット情報を使って、それらをいわばキーワードとしてメモリからの高速の検索が行われる。その結果、メモリから、かつて学習した大量の身体運動シミュレーションが呼び出される。

このシミュレーションにより自動的に感情を伴う仮想運動が発生することで、シミュレーションが表現する物事への注目が引き起こされる。物事への注目が起こると、第3B層には、予測用の身体運動シミュレーションが形成され、下位の層を使った仮想運動が発生する。その過程で(拙稿の見解では)私たちが主観的に感じる感情変化と現実感と意識感覚が発生している。

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感情は何のためにあるか

2009年05月06日 | x9私はここにいる

Moreau_death 

逆にいえば、感覚器官が直接受信した情報を神経系各所の神経回路で二次的三次的に加工する機能が進化したのは、それら加工情報が上位の運動制御に使われるようになったからでしょう。たとえば、感覚器官が受信する直接の視覚聴覚などのデータから恐怖などの感情を発生する感情機構は、その加工された感情という情報を上位の運動制御に使用するから役に立つ。つまり、牙をむく猛獣を目で見て、その視覚情報から恐怖の感情が起こるのは、その感情反応を利用して逃避運動をじょうずに実行する上位の運動制御回路があるからです。

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上層ほど情報が広い

2009年05月05日 | x9私はここにいる

さて、興味深いことには、これら運動形成の重層構造は、それぞれ下の層の作動を上の層が制御しているという構造になっている。制御している、というと支配しているような語感にもなるが、この場合むしろ、支配しているというよりオプションの機能を付加している、というべきだろう。時計の機構の上に目覚し機能が付加され、さらに目覚し機能の上にオルゴールの選曲機能が付加される、というような場合に似ている。

下の層は上の層に比べると少ないインプット情報しか持たずに比較的自律的に動いている。上の層は、より広い範囲からの多様なインプット情報を受信してそれに対応する予測シミュレーションを稼動させることで下位の運動をコントロールして付加的な機能を実現している。ここで上の層が受信するインプット情報は、五感および体性感覚のほかに神経系の各所で二次的三次的に加工された情報も含む。

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脳構造と機能との対応

2009年05月04日 | x9私はここにいる

Moreau_apollo_2

この第三層の上下二分化は解剖学的には同定されていない。脳組織として、解剖学的に上下二層の構造になっているかどうかも定かではない。最近の脳神経科学の研究では、自制心、問題解決など人間的意識を発生する機構が、前帯状皮質、前頭葉、頭頂葉などからなる神経回路に当たるという仮説(二〇〇一年 ジョン・オールマン、アティヤ・ハキーム、ジョゼフ・アーウィン、エスシア・ニムチンスキー『前帯状皮質 感情・認知連関の進化』)などあるが、検証は不十分と思われる。いずれにせよ、脳神経系の機能と解剖学的組織構造との対応は、現状では、残念ながら技術と方法論が未成熟な段階と認めざるをえない。拙稿としても脳構造と機能との対応については、拙速に細かい構造分析を求めることはあきらめて、次世代の研究に期待することでとどめるとします。

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