世界中の哲学や宗教、思想といわれるものは、どれも言葉を安易に使いすぎているのではないでしょうか。特に西洋哲学は、はじめから言葉を間違って使い始め、時代がたつにつれて、ますますこの間違いを徹底し、言葉をどこまでも信頼できるものとみなしてきました。この哲学にもとづいてヨーロッパの人たちは、言葉を徹底的に使いこなすことで精緻な倫理、法律、社会制度を作り、それを基礎にして力強い西洋文明を発展させ、欧米諸国を世界のリーダーに押し上げました。
西洋哲学は、人間の集団をそのように社会化し文明化し、世界全体を征服することで言葉の存在感を確立し、ますます言葉の限界を見えないようにしてしまったのです。