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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

比喩と事実の区別はない

2010年01月19日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

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私たちの言語は(拙稿の見解では)、本来、比喩と事実を区別しない、ともいえる。比喩を使う文章表現を指して、それが比喩表現であるとする見方は、現代人の言語学者が考え付いた見方ではあるけれども、言語を発明した原始の人々は、もともと比喩と事実の区別はしていなかった、のではないでしょうか?

もしそうであるとすれば、「あらゆる行動は目的がある」という認知は、現代人からみて比喩であろうが事実であろうが、本来、人間の言葉としては、事実として語られる。つまりどんな場面でも「あらゆる行動は目的がある」という見方は普遍的な使われ方をしていることになります。これは人類の言語が持つ二項形式が(X,Y)、Xがある目的を持ってYをする、という形式であることに(拙稿の見解では)表れています。

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比喩は事実の一種

2010年01月18日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

拙稿の立場としては、これは人類の言語の顕著な特性である、と認識します。こうして人類の言語は、比喩が比喩であることに気づかずに使われていく。あるいは、比喩は事実の一種である、という形で使われていく。実際、比喩のほうが事実よりも事実を表していたりする(一九八〇年 ジョージ・レイコフ、マーク・ジョンソン『生きる糧としての比喩』既出 〔邦訳:渡部昇一・楠瀬淳三・下谷和幸訳『レトリックと人生』大修館書店, 1986年〕)。「あらゆる行動は目的があるかのごとく見える」というアナロジー(直喩)が、単に、「あらゆる行動は目的がある」という事実の形式(隠喩)で表現される。

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メタファーとは何か?

2010年01月17日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

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そうだとすれば、ライオンを観察している人が「ライオンがシマウマを襲う」という意味のことを日本語あるいはケニヤ語で言う場合、それは事実を言っているのではなく、「ライオンがシマウマを襲うがごとく追跡しているように見える」という擬人化を使った比喩を言っている、ということになる。

しかしここで問題なのは、このような隠喩話法を使う場合、比喩を言っている場合も、直接の事実を言っている場合も、言葉としては同じ、ということです。「ライオンがシマウマを襲う」と言う人が、自分は実は「ライオンがシマウマを襲うがごとく追跡しているように見える」という比喩を言っているのだ、と自覚しているでしょうか?ふつう、していませんね。ただ単に、ライオンがシマウマを襲っているから「ライオンがシマウマを襲う」と言っているのだ、と思っているでしょう。

この点を、拙稿としては問題にしたい。比喩(メタファー)とは何か?つまり、たとえ比喩を語る場面であっても、話し手はいつのまにか事実を語っているつもりになっているし、聞き手もまた事実を聞いているという気になっている。これは、どういうことなのか、という問題です。

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自動的運動シークエンス

2010年01月16日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

ライオンは、逃げるシマウマを追って走るという運動を実行することで、脳神経機構のシミュレーション読み出しシステムから自動的に引き出されてくる運動シミュレーションに沿って、無意識に運動を展開しているだけです。

ライオンの自動的な運動シークエンスは、次のように構成されているはずです。

シマウマを追う→シマウマの尻が目前に見えるまで追いつく→思いっきり飛びつく→背中に飛び乗る→頚動脈を噛み切る→倒れたシマウマを食べる。

ライオンの内部の神経機構では、矢印の直前に記述されている運動が矢印の直後に記述されている運動を自動的に引き起こすような連鎖メカニズムになっている。ライオンの身体は、矢印の方向へ自動的に運動シークエンスが進み、無意識のうちに身体が動いていくような機械的機構になっている。それだけでしょう。

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ライオンは人間のようなのか?

2010年01月15日 | xx1私はなぜ自分の気持ちが分かるのか

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実際、ライオンはシマウマの持っている大事なものを奪うという社会的な目的を持って行動しているのか? 「大事なものを奪う」というような抽象的な目的概念を持っているのか? まじめに考えれば、ライオンがそんな人間のような考えを持っているはずがないことは明らかですね。では、ライオンは何を考えて行動しているのか?

シマウマを追っているライオンの内部で何が起こっているか推測してみましょう。シマウマの背中に飛び乗るという運動シミュレーションは活性化されているに違いないと思えますね。一方、「シマウマの持っている大事なものを奪いたい」とか、あるいは「シマウマの生命をこの世から抹殺したい」という考えがライオンの内部にあるでしょうか? 幼稚園児はそう思うかもしれない。しかし、動物をよく知っている大人は、ライオンの内部にそういう考えがあるはずがないことをよく知っています。

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