人間の行動は、個人の意図から作られるというよりも、仲間集団として動いている(目の前のあるいは記憶や想像の中の)集団運動の感知が先にあって、それを写し取ることで個人の運動が形成される、と考えられます。ダンスでは一人で踊ることをソロといいますが、ソロはグループダンスから派生したものです。動物の脳には、仲間と群れて集団行動をする仕組みが古くからあります。つまり、仲間の運動を自動的に追従します。人間の脳の奥にも、その古い仕掛けの神経回路が根強く残っているのでしょう。仲間の運動に共鳴して動く。それは自分で考えて動くよりもずっと深いところから人間の運動を誘導しているのです。
自分で考えて動く、と自分では思っていても、それは仲間が動くのを感じて、あるいは記憶を再生して、あるいは脳内で想像して、その仮想運動に自動的に身体が追従して動いていくわけです。自分の身体という(集団の中の)そのひとつの人体が、集団運動に誘導されていつのまにか動く。(現実の、あるいは仮想の)集団の動きを無意識に感じ、それによって脳内に形成される仮想運動に自動的に追従して、実際の運動をしてしまうのです。それを人間は、自分の内部で、「動きたい」という欲望が生じてその通りに自分は動いたのだ、と思っているのです。それが「動きたくて動く」とか「動こうと思って動く」ということ、そして、人間の「思う」、「考える」という行為の仕組みではないでしょうか。
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