その後、科学の文献ばかり読んできました。
ところがこの十数年ほどのごく最近の科学の流れの中に、古い哲学の問題に新しい展開を与えられそうな思想が芽生えてきていることに気が付きました。
特に生物科学、脳神経科学、それに行動科学、認知科学、システム工学などの先端研究です。それらの研究者の中には、自分達の研究の延長上に哲学の伝統的な難問へのヒントが横たわっていることに気づいている人たちがいます。そのうちのさらにごく少数ですが、部分的に拙稿の発想と似た考えを書いている人もいます。ただ、残念ながら、それらも断片的なヒントです。なかなか、まとまった学説にはならないようです。既存の専門分野を再整理して、新規の学問分野を作り上げるところまではいかないのでしょう。