生物科学の進展によって生物に神秘などないことは明らかになってきました。
残るは私たちホモサピエンスという脊椎動物の中枢神経系、つまり、脳の科学でしょう。
生物科学の進展によって生物に神秘などないことは明らかになってきました。
残るは私たちホモサピエンスという脊椎動物の中枢神経系、つまり、脳の科学でしょう。
なぜこの世はあるのか? なぜ私はいるのか? これらは一番古い哲学のテーマですが、実は次世代の生物学の先端になるテーマだとも言える。つまり、なぜこのホモサピエンスという生物は、物質とか精神とか世界とか自我とかいうものについて、仲間どうし語りあうようなDNAの配列を持っているのか?
生物の神秘、でしょうか? でも生物は物質でしょう?
拙稿の発想の出発点は、旧来の哲学への失望もありますが、むしろこれからの科学、特に情報科学、生物科学、脳神経科学、行動科学などの成果が、近い将来、このテーマの方向に統合されてくることへの期待です。
筆者は、哲学と科学の基礎に関する自分の理解を整理するために、すこしまとまった文章を書きたいと思っていました。そこでこの際、右の観点でまとめることを目指して拙稿を書きはじめました。現役を卒業してしまった筆者はいまさら評判を気にすることもありません。拙稿は遠慮なくタブーを無視して、文系も理系もかまわず既存の学問の系譜からはみだしていきます。
そもそも学者という職業は、できるだけ狭い専門分野の看板を掲げることで社会的な信頼を獲得しているところがあります。たぶんそんな事情からでしょう。哲学を生物科学やシステム工学の観点から見直して、根っこから作りなおすという話は、文系からも理系からも、なかなか出てきません。