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哲学はなぜ間違うのか

why philosophy fails?

自然は人間の意志と無関係

2008年05月07日 | x7私はなぜ幸福になれるのか

Tizianodiana_a

では、突然、目の前に小石が飛んできたら? 私に当たったら怪我したかもしれない。だれが投げたんだ? 私を狙撃しているのか? と思う。人間は、物が動くのを見ると、その原因を、だれかが何かの目的を持って行為した結果に違いない、と思う。

飛んできた小石は、崖の上から自然に滑り落ちた落石がはねた、という場合もある。しかし、私たちは、ふつうそう思わない。この石を投げたのはだれだ? と思って、周りを見回す。

南極の氷山が崩れると、地球温暖化だ、と思う。しかし、氷山というものは、いつの時代でも崩れるものなのです。自然は、人間の意図と関係なく、変化していく。それなのに、私たち人間は、物事はだれかが何かをするから変化する、と思ってしまう。

しかし、一方、自然科学の知識にもとづいて物事を見ると、まったく別の見方になる。まず、自然現象は人間の意志とは関係がない。植物も、意図を持って動くことはないでしょう。動物ですが、人間以外の動物については、目的指向の計画的な行動が存在するかどうか、明らかに疑わしい。

拝読サイト:自然現象・

拝読サイト:神隠び坐す国

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すべての物事と私たち

2008年05月06日 | x7私はなぜ幸福になれるのか

太陽は地上を暖めようとして照る。

風は、人や物を吹き飛ばそうとしてふく。

雨は、地面を濡らそうとして降る。

花は人を慰めようとして咲く。

ゴキブリは主婦を嫌がらせようとして台所に現れる。

この世の、すべての物事は私たちに何かをしようとして、起こる。

私たちは無意識のうちに、目に映る物事が起こる原因を見つけようとする。財布が落ちていれば、 だれが落としたのか、と思ってしまう。何年も前から、そこにあったとは思いません。小石だったら? 何年も前からあったに違いない。しかし、そういうものは、ふつう、目に映らない。だれかがそれをしたという感じがしない物事は、ふつう、私たちの関心を引かない。

拝読サイト:ムシ

拝読サイト:忘れっぽい・・・

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アニミズム

2008年05月05日 | x7私はなぜ幸福になれるのか

Tizianodianaactaeon このことは、自分の行動ばかりの話ではない。私たちは、自分たち人間の行動が、すべて目的を追求する最適行動として生成されている、と感じると同時に、犬や猫などの動物の行動も同様に目的指向でなされている、と感じる。人間は、物事を観察する場合、それが目的を指向して動いている、と感じ取る。これは、たぶん生れつきの人間の神経回路に備わっている仕組みです。赤ちゃんや未開人などの世界認識は、素朴にそうなっている。あらゆる物事は目的を持って起こる。原因は結果を目指して起こる。物事は目的の状態に至ることを目指して動いていく。そういう物の見方です。自分を含めた人間はもちろん、動物も、草木も、気象や海山でさえも、そうして動いていく、と思い込むわけです。すべてのものは魂を持っている、というアニミズムです。

拝読サイト:日本の教育はアニミズムを助長している。

拝読サイト:憲法について思う 1

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人間に主体性はない

2008年05月04日 | x7私はなぜ幸福になれるのか

(拙稿の見解では)動物と同じように、人間にも、主体性などはない。脳内の将来予測モデルに自動的に反応して何かをしてしまって、それをしている自分を見て、「ああ、私はこれをするのが好きだからしているのだ」と思うだけです。あるいは、「私は、これをすべきだからしているのだ」、「あの目的のために、これをしているのだ」と思うのです。どっちにしても、そう思う前に、他の動物と同じように、無意識に自動的に身体が動いていく。自分がそうしようと決める前に自分の身体がそれをすることは決まっている。感覚器官からの入力情報に自動的に反応して、脳内で世界の予測シミュレーションが起こり、それに反応した感情回路が加速する運動が自動的に起こり、身体が動いてしまう。進化の過程で洗練されてきた反射回路と感情回路が加速する運動は、「怖いものを避ける」など生き残るために有益な運動だから整合が取れている。合理的に見えるわけです。

それで、目的を持った行動のように見える。あたかも、人間は、脳内にゲームのペイオフ行列を備えていて、それを最適化するアルゴリズムで計算して最適な行動を生成しているように見える。目的の得点を最大化する最適戦略による行動と見える。人間は自分をそのように行動するものだ、と思い込んでいる。そして、その目的のためにその行動を実行した、として、自分の行動を記憶する。

拝読サイト:人間観察

拝読サイト:Securitization of Organization

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人間の場合も動物と同じ

2008年05月03日 | x7私はなぜ幸福になれるのか

Tizianoeccehomo_2

人間も動物なのだから、基本的には、他の動物と同じように、単純で反射的な運動形成をしているはずです。生まれたばかりの赤ちゃんの動きは、明らかにこうなっている。ただ、成長した人間の脳は、(拙稿の見解では)リアルな物質世界からの感覚入力信号に直接反応するばかりでなく、過去の学習で作られた予測シミュレーションに、感覚入力信号を組み入れて、そこで作り直したバーチャルな世界モデルとその存在感に反射的に反応して、仮想運動、仮想感覚を作り出している。拙稿4章で論じたように、大人の人間は、予測シミュレーションから作られるバーチャルな世界の存在感を、仲間の人間たちと共有することで、それを現実と感じとっている。赤ちゃんや他の動物に比べて、大人の人間の行動は、このシミュレーション世界モデルに反応する仮想運動と仮想感覚が加わった分だけ、運動形成過程が複雑ですが、基本的な仕組みは動物共通のものと同じでしょう。

(拙稿の見解では)人間の場合も動物と同じように、実運動も仮想運動も、単位の運動は単純に自動的な反射として起こる。ただ、人間の場合は、大脳で大規模な予測シミュレーションをする結果、数多くの仮想運動を次々に連結、連鎖するので、全体として複雑な将来予測モデルを脳内に作り出し、それに対応して行動が形成される。そして実際に出力された運動をふたたびシミュレーションに繰り込んでそれを思い出すことで、自分が計画して複雑な行動を起こした、という経験として記憶する。

拝読サイト:やった

拝読サイト:むずかしいこと

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